七十三刻 ページ26
悩ましげに、いつもは竹でも背中にいれているのかと言いたくなるほど真っ直ぐに伸ばされている背中が少しばかり前のめりに丸まっている様をみて、見送っていた右京はこれは相当衝撃であったのだろう、暗い雰囲気を醸し出している双子の弟の後ろ姿を心配そうな表情で見送る。やがて左京の姿が人ごみに消えると、右京は店の中に入った
普段は客で賑わっているいる洋和堂は、深刻そうな顔をした左京がきたことにより急遽午後から店じまいをした。そのため客はいない。静かな店内を進み奥に位置する階段を上る。「俺達は何処へむかっているのだろう」かと、階段を上って部屋へと向かいながら右京は考える。俺や左京、朧に佐吉、それに姫野は未来がわかるわけではので明日何があるのかわからない。暗闇の中を歩いている等しい。部屋の入口にたって朧の膝に頭を乗せて目を閉じているAの姿に右京は目を細める
コイツは、どこにむかってんだろ
右京にはAがどこへ向かっているのかが、分かっている気がいつのころからかしている。はっきりとはわからないが、彼が京へ行こうと言ったときには、既に彼は自分の道を知っていたのではないか。京についたらついたで右京には洋和堂の店主の座を、左京には浪士組隊士の座を、朧にはとくに何も言わずただ洋和堂の看板娘をやってもらっているが、土佐からよばれた彼女の兄は監察方まがいのことをしている。
『どうした右京』
入り口に立ったままの右京にAは声をかける。朧は首を傾げている。揃って同じ表情をしている恋人二人――Aに右京は目を細めて
「べつに。どうもしねえよ」
座布団を丸めて枕代わりに昼寝をはじめた
「・・・・・南雲の里に帰ったら、嫁さんさがそうかなー」
「いきなりね。まあ、早いことに越したことはないから、そうしたら」
藪から棒になにを言ってんだといわれそうな呟きに応える朧。背を向けているから表情は分からないがきっと、いや絶対Aとの幸せ結婚生活を脳内にて思い描いているのだろう。朧の周りを花が舞う
ぽわぽわした雰囲気をだしはじめた朧に右京はため息を吐き出した
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新選組(プロフ) - 奈々さん» コメントありがとうございます。ちまちました亀更新ですが、頑張らせていただきます^^ (2016年11月9日 21時) (レス) id: 99972413c8 (このIDを非表示/違反報告)
奈々 - ファイト! (2016年11月9日 20時) (レス) id: e665f2dd13 (このIDを非表示/違反報告)
新選組(プロフ) - アズトさん» 頑張らせていただきます! (2015年10月4日 15時) (レス) id: edf288500b (このIDを非表示/違反報告)
アズト(プロフ) - とても面白いです!!更新頑張って下さい!! (2015年10月4日 15時) (携帯から) (レス) id: d14f271b06 (このIDを非表示/違反報告)
新選組(プロフ) - 未桜さん» 頑張ります! (2015年8月23日 12時) (レス) id: 188fe80e21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:新選組 | 作成日時:2015年6月9日 19時