俺がやった悪い事は、もうどうでもいいけどさ。最近、時間が過ぎていくと共に＿＿自分の命が削られていく気がするんだ【薫成り代わり三章】 (ページ5)

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六十刻ページ5

壁際に上半身の着物を脱いだ状態で、松本先生に着物が脱がされそうになっている伊東さんを見ながら。小声でもっとやれー、と応援する。だが、結局逃げられてしまい

チッ、と短く舌打ちをした。その様子を横で、同じく上半身の着物を脱いだ状態の姫野が横目で俺を見ながら、「伊藤さんの事、相当嫌ってますよね。先々さん」

と言った

左京「裏表、のある、人間が、嫌い、なだけ、です。そう、言う、姫野も、伊東、さんが、嫌い、でしょう？」

姫野は「そうですね。これについては自分でも、わかりかねます」、と曖昧な答えを出した。ただ、と最後につけたし

俺に笑みを向けながら

若子「先々さんの切れ切れの言葉は、連続で聞くと聞き取りづらい事は分かりました」

と言った

それに対し俺は

左京「言葉の、暴力、はんたー、い」

と返した。俺の様子にクスクスと笑い、次に肉体美自慢、および筋肉自慢をはじめた永倉さんを見て、またクスクスと笑った

新八「先々、お前もそう思うだろう！」

突然の大声と話をふられた事により、驚きによって体が小さく跳ねる。目線を永倉さんに移す。話を聞いていなかった為何の話か分からない

首を傾げて隣の姫野を見やる。

姫野は屈託のない笑顔で、くだらない話ですよ、と言った

新八「おい姫野、くだらないとはなんだ！」

姫野言葉に反論しようとするが手で制して、いいですか、と言った

若子「永倉さんは頭が良く、なおかつ強い！よっ、日の本一の腕っぷしを持つ男、憎いねー！」

突然大きな声で永倉さんを褒めだした姫野に驚いたが、そのお世辞に気を良くした、単純な永倉さんにも驚いた

左京「姫野、お前、凄いな・・・・・」

若子「民宿で下働きをしていた事があって、その時身に着けました」

姫野の眼尻にはうっすらと、涙が浮かんでいる。明日にでも、洋和堂のお菓子でも奢ってやろう