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あれから1年が経ち、私は中学校へ上がった。


あの日のこと。悟や両親たちが時間をかけてささくれ立った私を癒してくれた。



「お嬢様、着きましたよ」



運転席に座る萩原さんがハンドルに手をかけたまま身体をこちらへ向けて声をかけた。



『ありがとうございます。萩原さん』



お礼を言ってドアを開けて外に出る。


中学生になって記憶の中では生まれて初めてスカートというものを履いたので、制服を着てから数ヶ月経っても未だにこのヒラヒラが慣れなかった。


辺りを見回して、悟がいないのを確認するとケータイを取り出して電話をかけた。



2コール目で悟が出た。




[ん?]


『ん?じゃないでしょ。もう高専に着いたけど、悟は何処にいるの?』


[あぁ悪ぃ。今センセーに説教されてんだわ。もう少しで終わるから待ってて]


彼の方から「おい勝手に決めるな」と低めの声が聞こえた。



『また夜蛾先生を怒らせたの?』


[ちげーよ。何か勝手に怒ってんの…がっ!?]



鈍い音が聞こえた。
恐らく拳骨を喰らったのだろう。



『じゃあ待ってるから、早くしてね』


[へーい]



通話終了のボタンを押して溜息をつく。


再び車内に戻れば萩原さんが笑って「またですか?」と聞いてきたので『またです』と頷いて座る。


12月23日。


雪はまだ降っていないが、外を吹く風は冷たく、車窓から見えた通行人は全員コートとマフラーを身に付けていた。


高専前に並ぶ店にはクリスマスツリーなどの装飾がちらほらと見え、クリスマスを目前に控えた街は何処も浮き足立った雰囲気である。



不規則に点灯する色とりどりの電飾をぼんやり見ながら、悟が呑気に歩いてくるまで待っていた。

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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟
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怠慢のにぼし(プロフ) - 緑の白猫さん» ご感想ありがとうございます!そう言っていただけて、構成に頭を悩ませた時間も無駄ではなかったのだと嬉しく思います。 (2021年2月23日 22時) (レス) id: 8a1e62ce6d (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ストーリーの構成も上手いし、時間軸の移動の仕方も上手いしで…。堪らなく大好きな一作です! (2021年2月23日 21時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
怠慢のにぼし(プロフ) - 琥珀さん» こちらこそ初めまして(*´ч ` *)こちらは五条悟オチになります。嬉しいお言葉ありがとうございます!本当に励みになります (2021年1月20日 10時) (レス) id: 8a1e62ce6d (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 怠慢のにぼしさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年1月20日 10時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:怠慢のにぼし | 作成日時:2021年1月19日 20時

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