ひっそりと暮らす筈だったのだが。2【転生したらスライムだった件】 (ページ43)

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89話｢ユウキ・カグラザカ｣ページ43

転移魔法(テレポート)で上階に転移し長い廊下を歩く。

｢あの｣

｢自由組合総帥(グランドマスター)はすぐに参ります。こちらの部屋でお待ち下さい。｣

リムルが話しかけようとしたが、秘書が遮る。

｢では｣

彼女が去ったのを見計らって話しかける。

『あの秘書…』

｢うん……まあ言いたいことは分かるけど我慢だ。｣

『…………ん。』

……少し不服だが今はその言葉に従っておこう

｢お待たせしました。僕が自由組合総帥(グランドマスター)の神楽坂優樹です。僕のことは気軽にユウキと_____｣

｢うわ、スライム！？｣

リムルが丁度スライムに戻った辺りでユウキが入ってくる。当然の反応だ。

｢初めまして魔国連邦(テンペスト)の盟主リムル=テンペストという。俺のこともリムルと呼んでくれ。｣

『…Aです。』

｢は、はあ｣

困惑しながらも、ユウキがリムルの手らしきものと握手をした。

私は素っ気なく挨拶をして会釈だけで済ます。

｢その若さでここの総帥なんだろ？｣

｢ああ、いえ実際には二十代後半です｣

｢僕は異世界からの転移者なのですがこの世界に来た時にスキルを獲得できなかったんです。｣

まずは軽く雑談。

____異世界から渡ってくる者はその際強く望んだ能力を得る。

シズさんが確かそう言っていたが、それは反対にユウキのようにスキルを持たず渡ってくる者もいるのか。

……無意識だが強く望んどいてよかった。

｢その代わりなのか身体能力は異常に発達しまして、肉体の成長もそこで止まってしまったようなんです。

……そのせいにするのもなんですがなかなか大人の男としては見てもらえず、未だに女性と付き合ったことがなくて…｣

などと弱音を吐いた。

ユウキの見た目は大体16歳程度の童顔だ。それでは同年代の女性も彼を恋愛対象にはしないだろう

『……ふっ』

｢いやー残念だったね、それは！なーにその内いいことあるさ！｣

｢ふっ！？
なんでお二人共そんなに嬉しそうなんです…？｣

『愛想笑いです。』

｢いやなに、ただのスライムスマイルさ！｣

にやにやと笑う2人にユウキは困惑していた。

｢そういえばリムルさん。一体どうやってここに入ったんです？この建物の入口には結界があるので魔物は入れないはずなんですが……｣

彼はずっと気になっていた疑問を問いかける。

｢ああ自動ドアの。ひとつはこの仮面
これで妖気(オーラ)を抑えることができる｣

そう言って彼に仮面を見せた。