ひっそりと暮らす筈だったのだが。2【転生したらスライムだった件】 (ページ22)

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69話｢お灸を据える｣ページ22

シオンが一通り熱弁を振るい終えると、蒸留酒を一気飲みしてぶっ倒れる。

シュナが結末を予想して目を瞑る。が、

｢セーフ…｣

リムルが寸前でスライムの姿になりクッションの役割をして彼女を助けた

……そのまま痛い思いをして反省してもらおうと思っていた私は彼女が手放したコップだけを重力操作で救った。

『間一髪でしたね。御手を煩(わず)わせてしまい、申し訳ございません我が君。』

反省などしてないが念の為に謝罪の言葉を述べる

｢……おいA。わざとじゃないよな？｣

鋭い。

『……？何のことか分かりかねます。』

首を傾げて惚(とぼ)ける。

｢悪いな、ウチの秘書が。｣

｢よいよい。早く部屋に連れて行ってやれ｣

リムルの謝罪にガゼル王が笑いながらそう促した

主(リムル)にいつまでも持ってもらう訳にもいかないので、代わって泥酔したシオンを浮かせる。

｢ほう。貴様、念力使いか？｣

ガゼル王が私を見て問う。

『いえ、恐れながらこれは重力操作でございます
ガゼル王様。』

｢Aは重力を弄って瞬発的に移動したり物理攻撃を防御したり出来るんだよ。｣

私の言葉の後にリムルが補足をする。

｢ふむ、なかなか珍しいものを持っているな
……大事にすると良い。｣

『そのようなご親切な御言葉……痛み入ります。』

ガゼル王の言葉に軽く礼をする。そのような反応をするとは、重力操作は前例がないのだろうか。

もう一度深く礼をしてリムル達と部屋を出た。

『疲れた……』

｢もう……恥ずかしい……｣

｢本当にな｣

シュナが呆れたようにシオンを見ながら言う
当の彼女は気持ちよさそうに寝ている。

偉大なガゼル王の前であんなふうに我が主に期待を寄せる発言を素直にするとは。

_どれだけリムルに信頼と期待を寄せているのだ。

だらしないシオンの寝顔を見ながらそう思う。

｢よし、戻って明日の演説の草稿を読み直そう。｣

｢はい！｣

『…はい。我が君』

私も我が主に信頼と期待を寄せる者の1人であった