20話「朝チュンならざるもの」 ページ22
ドアから差し込む眩い光に目を覚ます
(んん、朝か……)
目を擦りながら身体を起こす
昨夜は一線を越えなくて本当によかった。
もう人を泊めるのはよそう。
目が覚めてもしばらく動けない私に、声がかけられる。
「あ、起きた?おはよう。勝手に食材とか使わせて貰ったわよぅ」
目をやるとエレンが朝ごはんを作ってくれていた。朝はご飯を作るのが辛いので非常に助かる。
『……………。』
「……?」
彼女が鍋のスープをヘラで3周程掻き回している間、無言を貫いた私に疑問符を浮かべる。
「もしかしてぇ……朝弱い?」
長い沈黙を破ってエレンが私に尋ねる。
『…………ん。』
間を置き、一言頷いて顔を洗いに行く。
◇◇◇
顔を洗って帰ってきたときにはもう既に3人は席についていた
早朝から外で身体を慣らしていたらしい2人も、「おはよう」と挨拶してくる
『おはよう。』
そう言って私も席につく。
立ち込めるスープの湯気が朝日に照らされて、
より可視化される。
『エレン料理出来ないと思ってた』
率直な感想を述べる。
「急に酷いわねぇ!?私だってこれくらいできるわよ!?」
突然の酷い偏見にエレンは顔を真っ赤にして返す。
『ふふ、冗談よ。いただきます』
昨日私が作ったスープとは違って具の少ないシンプルなスープだった。
このスープ、シンプルなのに何処か馴染みやすい味をしていた。
見た目と違って味は壊滅的かもしれないと警戒していたので衝撃を受ける。
『……美味しい。これ、何入ってるの?』
「えへへ、この前街で買った調味料を試して見たのよぅ。喜んでもらえよかった。」
私の反応が良くて嬉しそうに笑ってそう答える。
「本当はその街に昨日行くはずだったんだが、
どうだ。嬢ちゃんも来るか?」
突然のカバルのそんな誘いに無意識に目を輝かせる。
『うぇ!?…んー……』
迷う。この誘いを受け入れるべきかどうか。
出来るだけ人と関わりたくないが、好奇心が今にも勝りそうだ。
「助けてくれた恩とか一晩の恩とか諸々へのせめてものお礼でやす。是非とも案内させてほしいでやす。」
ギドは追い打ちをかけるように言ってくる。
この3人とこれ以上一緒にいるのは……しかしこのスープの調味料が売ってある街に少し興味が…
葛藤に頭を悩ませる。
強い意志が折れるまで、さほど時間はかからなかった。
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怠慢のにぼし(プロフ) - 100人突破しました!!皆様お気に入り登録ありがとうございます!! (2020年3月13日 12時) (レス) id: 2524957e30 (このIDを非表示/違反報告)
怠慢のにぼし(プロフ) - いえいえ!!!!進行上少しだけになるかもしれませんが気長にお待ちください!!! (2020年1月12日 18時) (レス) id: 2524957e30 (このIDを非表示/違反報告)
黒い翼の堕天使(プロフ) - マジですか!?ありがとうございます!! (2020年1月12日 18時) (レス) id: 87644745f4 (このIDを非表示/違反報告)
怠慢のにぼし(プロフ) - 本当にごめんなさい!!!!!!機会があれば百合をぶち込みます!!!!! (2020年1月12日 18時) (レス) id: 2524957e30 (このIDを非表示/違反報告)
黒い翼の堕天使(プロフ) - 好きです!!! (2020年1月12日 18時) (レス) id: 87644745f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怠慢のにぼし | 作成日時:2020年1月4日 22時