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18話「本能にも抗えない」 ページ20

先程食卓替わりに使用していたテーブルを片付けて、3人分の寝るスペースをつくる。
カバル達は携帯式の寝具を床に広げる。





室内の一部を除くランプを全て消し終わった時には、既に寝息を立てていた。



『……無防備ね。私が悪者だったらどうするのよ』



微笑みながら、可愛らしいエレンの髪を優しく
撫でて、自分もハンモックに寝転がる。




……今日は疲れた。そう思いながら重くなった瞼をゆっくり閉じた。







深夜。喉の渇きを覚え、目を覚ます。


なんだか異常なほど喉が渇く。
水桶の水をコップですくって飲む。……が、あまり喉は潤わない。



……血か。元はコウモリなのだから吸血は必要だ。食事の面では肉とかで良いものの、喉の渇きは水だけでは潤わないようだ。



棚から血液の入った容器を取り出す。これは動物の血で、狩った獲物の血を貯めていた。



コップに注ぎ入れて、飲む。
少量飲んだだけでコップ1杯の水とは比べ物にならないほど喉に潤いが与えられる。


そこでふと、視界にカバル達が入る。




__思わず喉を鳴らした。



動物の血はあまり美味しいものではない。
しかし人間の血は、どの動物の血に勝るほど極上の味がするのだ。




ミシェラの血を飲んだのが、人間の血を吸った最初で最後なのだが、


あの時の、あの血が、あの味が、あの幸福感がどうしても忘れられないのだ。




おもむろに近づいてエレンの顔の横に手をついた。エレンは相変わらず細い寝息を立てている。



夕飯にあれほど食べられたのだ。


少しだけ…血をいただいてもバチは当たらないはずだ。





エレンの、甘い香りが嗅覚を刺激させる。
顔を近づけると、その匂いがより一層濃くなる





思わず、舌なめずりをしてしまう。




……だ、だめ。止まって、止まって!!!?



必死に本能に抗おうとするも、身体が誘惑に負けそうになる。本能には到底、逆らえないのだ。





血を欲す彼女のことを止められる者は
その場には誰もいなかった。

19話「餌を前にした獣」→←17話「良心に逆らえない」



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怠慢のにぼし(プロフ) - 100人突破しました!!皆様お気に入り登録ありがとうございます!! (2020年3月13日 12時) (レス) id: 2524957e30 (このIDを非表示/違反報告)
怠慢のにぼし(プロフ) - いえいえ!!!!進行上少しだけになるかもしれませんが気長にお待ちください!!! (2020年1月12日 18時) (レス) id: 2524957e30 (このIDを非表示/違反報告)
黒い翼の堕天使(プロフ) - マジですか!?ありがとうございます!! (2020年1月12日 18時) (レス) id: 87644745f4 (このIDを非表示/違反報告)
怠慢のにぼし(プロフ) - 本当にごめんなさい!!!!!!機会があれば百合をぶち込みます!!!!! (2020年1月12日 18時) (レス) id: 2524957e30 (このIDを非表示/違反報告)
黒い翼の堕天使(プロフ) - 好きです!!! (2020年1月12日 18時) (レス) id: 87644745f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:怠慢のにぼし | 作成日時:2020年1月4日 22時

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