72.わんこ ページ24
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「⋯⋯え?」
北斗が何かを言おうとした瞬間、タイミング良く特急が猛スピードで通過して行った。
「ごめん、よく聞こえなくて」
なんとも言えない顔をした北斗。
北斗「ううん。やっぱりなんでもない。それより____」
北斗の視線の先には電車が見えて、ちょうど私たちが乗る電車が間もなく到着するアナウンスが流れた。
電車が到着して、ドアが開いて、少し混んだ車内に私たちは乗り込む。
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「ねぇ気になるじゃん」
北斗「文句はタイミング良く通り過ぎた特急に言ってください」
「なんだよいけずー!」
北斗「いけずとか久しぶりに聞いたな」
どちらからともなく、ふふっと笑みがこぼれて、ザワザワした電車内で身を縮めた。
やがて、電車はよく揺れる橋に差し掛かる。この橋を通るのが、北斗の最寄りに近付く合図だ。
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北斗「あのさ、一つお願いがあって」
ここ持ってていいよ、と差し出されたネイビーのセーターをちょこんと掴んでいた時。
北斗「⋯⋯⋯俺もAって、⋯呼んでいい?」
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「⋯え?」
北斗「あっ、!いやその、川波も京本も言ってるから⋯羨ましいと思って⋯だから⋯⋯うん」
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多分、なかなか間抜けな顔をしていたのだろう。
北斗の顔もだんだん暗くなっていって、「だめ⋯かな、」と目をそらす。
すっかり、西宮さん呼びが染み付いていたから、それが北斗だけであったことを忘れてしまっていた。
いつもはしっかり者で真面目な北斗がおどおどしているのはなかなかに可愛らしくて
「⋯うん(笑)いいよ」
北斗「やった!!⋯⋯じゃあ、バイバイ」
小さく手を振って電車を降りていった北斗はまるでおやつを貰って喜ぶ子犬みたいだった。
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(てか、さっき言いかけたのそれ⋯?)
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あんじゅ(プロフ) - えみりーたさん» 嬉しいコメントありがとうございます♡本当にお待たせしました〜(TT)次回の更新もお楽しみに!!ヽ(*´∀`)ノ (2022年8月10日 23時) (レス) id: b8ed25930e (このIDを非表示/違反報告)
えみりーた(プロフ) - はじめまして。ずっと更新待ってました!切ない展開に、胸が締め付けられてます。この後どうなるのか、ますます楽しみになりました。期待してます! (2022年8月10日 22時) (レス) @page8 id: d4d342cc13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんじゅ | 作成日時:2022年8月10日 19時