嫌いなくせに【五条悟】

最低最強そのさんじゅうご ページ15

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「怪我の具合はどうだ？」






「それさっき同じこと聞いてきた奴がいた......」







「アイツだな、」






五条と入れ替わるように入ってきた硝子は
呆れたように言葉を零した。アイツがお見舞いに来ること自体珍しい事なのに、彼女は特別驚く様子もない。






どかっとパイプ椅子に座り足を組んだ彼女は慣れた
手つきで煙草を吸う。煙草の何が良いかわからないけど、体には良くない物という認識はある。




それをこの医務室で堂々と吸う彼女に、今更
驚くことはない。








「.....ねえ硝子、五条って
最近いい事でもあったのかな。」








「要約すると？」








「五条が優しすぎて怖い。」










あまりの変貌ぶりに恐怖すら覚える。
どういう風の吹き回し？
私の事が嫌いすぎて、優しくしてオトして
弄ぼうとしてるとか？





いくら考えたって答えは出ない。







悶々と考えていると煙草を吸い終わった硝子が
立ち上がって、見上げるとしっかりと目が合った。








「ま、私がどうこう言えることじゃないけど、
素直に喜んでもいいと思うよ。」







「よろこ、え、...えぇ?」









まるで全てを分かりきっているように
そう言った彼女の言葉は少し的外れだ。
なんで私がそんな事で喜ぶのか。







「アイツが優しくたって、別に嬉しくない、し。」







どうせ好きな人がいるんだ。
そう思ったけれど、心というものは正直なもので、
五条が来るのを心待ちにしている自分がいる事も
どこかでわかっていた。








何度彼を嫌い、好きになったか。
いい加減、振り回されるこちらの事も
知っておいてほしい。








「好きじゃ、ないもん。あんな奴。」








それが私の本音じゃない事を知っている硝子は
からかうように鼻で笑った。











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