Ψ後の晩餐8

第361χ ページ39

｢そうなんじゃねーの？｣

｢わっ！｣


持っていたホウキをグイッと引っ張られ、勢い良く学くんの近くに来てしまった
逃げる間もなく腕を掴まれ、顔を近づけてきた


｢な、なに｣

｢奪うって言ったら？｣


いやこれ斉木くんに言われたらキュンとするやつだけど君に言われても悪寒しかしないから！！


｢ちょっと離してよ気持ち悪｢ちょっと中庭掃除させてるの？！｣






───────






お、来たな


今Aさん達の所へ向かったのは、さっき僕たちがいた部屋に夕食を運びに来た仲居だ

テレパシーで中庭に2人がいる事を伝えておいた


｢Aさんをもう上げたはずなのにどうしてここで掃除させてるの？！だめよこういうことしちゃ！｣

｢あ、はいさーせん｣

｢……Aさんごめんなさいね、今度こそ上がっていいからね。ここのお掃除の分もしっかり残業代に入れておくから……！｣

｢はい！お願いします！！｣


遠慮は全くしないな


Aさんは中庭から中へ入るためこっちに向かってきた

僕が覗いていた窓の横が出入口の為、すぐに僕の存在に気づくだろう


｢疲れた……あっ……！！斉木くん！！｣


分かりやすいほどにパッと顔が明るくなり、走ってこっちへ向かってきた


｢斉木くんいたの？！やったーっ！｣


僕のすぐ下から窓枠を掴み、上を向いて僕を見ながらぴょんぴょん跳ねる


《お疲れ》


頬杖をついていた僕が微笑んで見せると、"ありがとう！！"と中へ入ってきて腕に抱きついてきた


｢……もしかしてさっきの会話聞いてた？｣

《いや今来たところだ》

｢よ、良かった……｣


安心した所でやけにぎゅうぎゅうと僕の腕に力を入れてくる
僕に会いたがっていた事は知っていたから仕方ない
強制テレパシーを使っていたからな


(あれが彼氏か……？)


ガミガミ仲居さんに叱られている元彼は僕達の方を見る

あいつは僕たちの関係の事で頭がいっぱいだ

叱られている事など1ミリも入っていない

やれやれ、1度頭の中を真っ白にしてやらないとな


Aさんの頭をぽんぽんと撫で、手でグッと近づけた

僕の口元に


(え…………)


お前はAさんに"奪うって言ったら？"と質問したな
それは僕が答えてやろう


お前が僕から奪えると思うか？
僕の心臓を奪うと言っているようなものだ
無理に決まっている

これが答えだ


｢……ん？斉木くん今何した……？｣

《何も》

｢え？！今《別に》

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