Ψ後の晩餐7

第286χ ページ11

周りは超能力なんて関係ないと口を揃えて言う

だが、超能力者にしか出来ない事もある

もう少しで火山が大噴火する
噴火すれば日本は終焉
全人類を見殺しにすることはさすがの僕も出来ない


その一方で、もし、このままずっと高校生を続けられたら、僕は幸せだろう
あの噴火を止める事をせず、この1年をずっと繰り返していれば……

そう心が揺るがされるから困っているのだ

それに、もし失敗したらAさんもしぬ

そんな事はさせられない


やはり僕はAさんではなく、噴火を止める事に集中しなければならないのだ




───────





｢熱くないかしら？｣

｢……お母さん、髪くらい自分で乾かせますよ……｣


至れり尽くせりだな


｢はい、いいわよ｣

｢ありがとうございます！｣

《……で、なんだそのパジャマは》

｢このサイズのパジャマだとこういうのしかないんだってー。でもお腹暖かくていいよこれ！｣


上は普通だが下は腹巻きとズボンが繋がったパジャマで、上の服をズボンの中に入れるスタイルらしい


《本当に着方合ってるのかそれ》

｢想像がつかない方は"2歳 腹巻付きパジャマ"で検索！｣

｢今日は僕とママと一緒に寝よう！｣

｢二人の間でねっ！ふふ｣

｢ええええええっ？！｣

《良かったな》

｢いや……えと……｣


そう言いながら僕の方をチラチラと見る

何が言いたいかはわかる
というか心の声が聞こえる
でも僕が"いや僕と一緒に寝よう"と言うと思うか？


それに客用の布団が洗濯中なのもわかっている
どっちみち君は両親と寝るしかない


《頑張れ。地獄の狭間で》

(うわーん斉木くんのバカーっ)

｢じゃあ行こっかママ｣

｢そうねパパ｣

｢え？え？｣


Aさんは両手を父と母に繋がれ間で左右に首を振って2人を見る


｢もう寝るんですか？まだ21時…………｣

｢ママ、家にまだ絵本あったっけか？｣

｢確かくぅちゃんに読み聞かせてた絵本がまだあったような……｣

｢え。絵本の読み聞かせですか……？｣

｢そうだよ｣
｢そうよ｣

(斉木くん……！！助けてぇええええ！！！)


悪いなAさん
もう少し両親のお世話ごっこに付き合ってやってくれ……


その後面白半分で千里眼を使いAさんの様子を伺う

普通にベッドで3人うつ伏せになり、普通に読み聞かせられ、普通に寝た


読み聞かせで寝てるじゃないか


さて僕一人の時間を満喫するか

今日はAさんに付きっきりだったからな
この時間くらい満喫させて貰おう

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