mysterium �� ページ8
「...馬鹿を」
彼女は、マーリンを軽蔑したような目で見ている。
「御前が
マーリンは肩を竦めて、彼女を見た。その瞬間、彼女に向けて矢が飛んだ。
「マスター、離れろ。そいつは」
「...抑止の狗か。面倒なものと契約したな、星見の」
彼女は舌打ちをすると、ぱたぱたと足音が聞こえた。
「イヴ」
「あ！」
彼女はパッと弾けたような笑顔で、呼んだ人に走った。
「A。私、マーリンとエミヤの攻撃避けたよ」
「アダーモはどうしたの？」
「アダーモはね、疲れちゃったみたいで引っ込んでるよ」
「そっか」
イヴは頭を撫でられると、消えた。
《ある未明座標》
「はぁ...こいつを巻き込むなんて、イヴはバカなのか」
「...知るか」
「まァ、御前はそうだろうな。イヴのことは許してやってくれ。彼奴は、Aが関わらない限りマトモだ」
水色が闇に話しかけた。
闇の中の赫は、舌打ちする。
「んで、聖杯は彼奴か」
「嗚呼、そこまで解ってるのか。なら、君は審判は大丈夫だろうさ」
「...オマエらは」
「想像の通りさ」
赫は、水色を睨んだ。
「睨んだって何も変わらない。あの子を救えるのは君ぐらいだ」
「...ふん。テメェは、英霊としては強力でありながら無力。...矛盾だらけだな」
「...そりゃあそうだろうな。創ったのは⿴⿻⿸だ」
「...理解した」
赫は足元を見た。ほぼ黒に塗りつぶされた世界には、水色しか見えぬ。
「在り方が矛盾してる奴らしいな」
「...イヴが聞いたら、激怒しそうだ」
「テメェはおもてに出ねぇのか」
「出る訳ないだろ。面倒事は、全部イブに任せてる」
「む、そろそろか。......赫の。ひとつ頼みたいことがある」
赫の尾が揺れた。
「彼奴の、命運は貴様に託す」
「テメェらが担ってるんだろ」
「今は、な。だが、この先になれば崩れるのは目に見えている事だ。故に」
水色は、揺れた。
水色が動くと共に、黒が猩々緋に塗り潰される。
手が、無数の手が、赫を掴んでは離す。
「君には先に真実を、......Aの秘密を見てもらおうか」
無数の手が、赫を掴んだ。そして暗闇に落ちた。
「面倒事は俺に任せるなんて、どうかしてるぜ。───────■□しか能がないんだぞ。こっちとら」
「あら、でもちゃんとやりきったでしょう？」
「御前か、彼奴の頼みでなければ、絶対動かないね」
「まぁたそんなこと言う〜」
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作者名：瑠璃 | 作成日時：2019年11月3日 11時
