ベイビー・ラブ (ページ15)

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今日はありがとうってLINEは3秒で既読が付いた。私も楽しかったって返信と変な動物のスタンプに、私も謎の生命体のスタンプで応戦する。

結局、樹先輩へのプレゼントは靴下にした。ブランド物の靴下はあんまり自分では買う人居ないからオススメですって店員さんにも言われてここにしようって即決。

個性派揃いの靴下たちの中で、樹先輩に似合いそうな靴下を探すのは結構楽しかった。

それに、私はお店の中でも運命の出会いをしてしまったのだ。

｢あの犬、ほんとに似てたなあ…｣

思い出すのは、お店で見つけたある靴下に描かれていた犬のイラスト。あの人を彷彿とさせるそれを、私は予定外にも購入してしまった。樹先輩じゃなくて、来週誕生日を迎えるあの人へのギフト。ちゃんとラッピングまでしてもらっちゃった。

｢北斗先輩、喜ぶかな｣

そんな、自分のつぶやきに1人で首を縦に振る。

だってあんなに似てるんだもん。あ、でも犬と一緒にすんなとか、言いそう。

そんな仏頂面をする北斗先輩の顔を思い浮かべたら、スマホが振動した。

どうせマキちゃんだろう。そう思ったから、送られてきたトークも見ずにLINEを開いた。

でも、違った。そこに表示されたのは、私の大好きな人の名前。

｢うそ、樹先輩…？｣

元々LINEは知ってた。グループから見つけて追加してたけど、トークはしたこと無かった。のに、その樹先輩がLINEが来た。

いい買い物できた？ってメッセージに、はい！って返信を返す。即レス過ぎたって思うけど、既読付けちゃったから仕方ない。

返信あるのかなってトーク画面を見つめてたら、数秒で既読がついた。そして、今度はスマホが着信を知らせる。画面にうつしだされるのは田中樹の文字。

｢も、しもし……？｣

第一声は、変な声が出た。そしたら電話越しに樹先輩の笑い声が聴こえて、ああ今私は樹先輩と電話してるんだって実感する。

｢今何してんの？｣

｢家でぼーっとしてました｣

｢何だそれ｣

｢樹先輩は？｣

｢あー、俺はさっき北斗と別れて家に帰るとこ｣

他愛のない会話。でも、耳をくすぐる樹先輩の声にドキドキした。何で電話？って私の疑問には樹先輩はくすくすと笑うだけ。

｢ねえ、何でですか？｣

｢知りたい？｣

｢知りたいですよ｣

だってこんなに不意打ちでドキドキさせられてるんだもん。理由くらい教えてよ。

そう思って頷いた。受話器越しの樹先輩に教えてって言えば、またひとつ笑いを落とした樹先輩言う。

｢声聞きたかっただけだけど？｣

なんて甘い台詞。

今日も今日とて樹先輩は、私のこと誑かしすぎなんだ。