振ったくせに【五条悟】【呪術廻戦】

最低最強そのじゅうきゅう ページ22

＊








「お前、元気？」



「見てわかるでしょ、」



「目パンパンだな。」







目の前でくすっと笑う五条を見てまた泣きそうになる。今会ったら絶対泣いてしまうと思ったのに、何でこうも間が悪いのか。自分の間の悪さが憎い。






泣いたのがバレたくないのと、好きな人がいたという事実が悲しくてついそっけなくしてしまう。






「なんか怒ってる？」



「怒ってない。」



「泣いてる？」



「泣いてない。」








早くその場を立ち去りたくて五条の横をすり抜けようとすると前に立ちはだかるこの男。右にいけば右に、左に行けば左にと、フェイントのように邪魔をしてくるコイツが今は心底鬱陶しい。



そして思わずこぼれ落ちた言葉。
あぁ もう、泣いてしまう。








「っ、好きな人いるくせに構ってこないでよ！！」







「それはっ、」









それは、何。






言いかけて口ごもった五条。その隙に私はするりと抜け出して早歩きで彼から遠ざかる。胸がはち切れそうなほど苦しくて痛い。自然とはらはらと涙がこぼれ落ちた。







五条は追いかけてこない。
まだ期待している事に気づいて自分が酷く惨めになる。








「っ、ばか、っばかぁっ、！」












あぁ、もう最悪だなぁ。
勝手に舞い上がってたのは自分なのに、
好きな人がいる事が辛くて五条に当たって、












最低なのは私だ。

















「んでだよっ、わかれよバカっ、」











＊

最低最強そのにじゅう→←最低最強そのじゅうはち

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す