七 ページ7
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突然掛かった声に、弾かれたように振り向く。
そこに居たのは、白い布を被っていても重傷だと分かるほどに血汚れた山姥切。
「山姥切国広……なんでここに」
「なんで？ ……はっ、写しの俺は本丸に存在するなと言うか」
「や、そうじゃなくて……刀に戻ってないんですね。宗三や亀甲は刀に戻ってたので。
それに、私が来た時声をかけても反応がなかったので……」
あぁ、と納得したように頷いた彼はとりあえず座ったらどうだ?と隣を指さした。
そこで蘇るのは先程の亀甲。
上に跨られて、上着を脱がれて、襲われかけた。
「貴方は、山姥切は……私に酷いことしませんか？」
「……そんなにガタガタ震えなくても何もしない。第一重傷の写しにできることなんて……」
隣に座ったら、少し落ち着いて。
落ち着いたら、安心して。
気付いたら涙が止まらなかった。
「……何か、あったのか」
「今朝起きたら、亀甲に迫られて……っ」
「嫌だったのか？」
「当然じゃ、ないですか……！
嫌だったし、怖かった……初めてもまだなのに……」
そうか、と静かに呟いた山姥切は、恐る恐るといったように私の頭に手を乗せた。
これは……慰めようとしてくれているのか？
「あんた……歳はいくつになる」
「今18で、今年19になります」
またそうか、と呟いた彼は暫し黙って私の頭を撫で続けた。私が落ち着いたタイミングを見計らって手を離し、ぽつりぽつりと話し始めた。
「…………すみません、ありがとうございます」
「別に…………俺は、この本丸の初期刀だった。
なんでかは俺にもさっぱりだが、審神者が居なくなったこの本丸でも何故かこのまま普通に過ごせていた。
始めはある程度手入れもしていたが……元から性じゃなかったから、1年もしたらやめた。」
「なんで、私が声を掛けた時来てくださらなかったんですか？ 聞こえてましたよね」
あぁ、と頷き俺が出たところで何にもならないだろう、と一蹴する山姥切。そんな。
「……落ち着いたなら戻ったらどうだ？」
「山姥切も来ますよね？
とりあえず一緒に手入れ部屋行きましょう。
……しばらく、あの部屋に戻るのは怖いので」
「あぁ……だが、俺は練度が高いから恐らく手入れは丸1日は確実にかかるぞ。
この本丸に手伝い札なんてものはない……先に部屋へ戻っておけ、送ってやるから」
続く (更新停止中)
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