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side_hokuto
樹がアイスを買いにコンビニに行っている間、俺はAとふたりきりになった。
いつもなら楽しくて仕方ない時間のはずなのに、今日は少し気まずい。
A｢…あのさ｣
｢ん？｣
A｢もしかしてだけど…私と樹が一緒に暮らすの、不安？｣
本心をつかれ、少しドキリとする。
｢……別に、平気だよ｣
この気持ちがバレないよう、笑顔で隠す。
A｢そう…｣
そしてしばらく、無言の時間が続いた。
なにか喋ろうと思っても、言葉を発するのが怖かった。
さっきみたいに気持ちが先走ってしまいそうで、Aを傷つけてしまいそうで…
でも、このままでは嫌だ。
これから3人で一緒にいることが多くなるだろう。
その度にこんな気持ちになって、Aに気を使わせて…、それは絶対に嫌だった。
｢…ごめん｣
A｢…え？｣
言おう、本当の気持ちを。
｢本当は少し…嫉妬、してた……｣
Aは少し戸惑いつつも、真剣に聞いてくれていた。
｢樹が…っていうことよりも、Aが他の男と一緒に暮らすってことに、それを俺に伝えてくれてなかったことに……｣
A｢え…｣
Aの顔が曇りだす…そんな顔、させたくなかったのに…
俯いたAはいつもより小さく、か弱く、消えてしまいそうだった。
ごめん、俺のせいで…
A｢ごめん…でも私、そんなつもりじゃなくて……｣
｢わかってるよ、Aは優しいから…気を使ってくれてたことくらい｣
A｢でも…っ、｣
それ以上Aの悲しい顔を見たくなくて、俺はAの口を塞いだ。
ちょっとだけ触れる感じの優しいキス、いつものようにAの柔らかい唇を感じる。
唇を離し微笑みかけ、強く抱きしめた。
｢大丈夫だよ、俺はAも…樹も、信じてる｣
A｢…うん、ありがと……｣
Aも俺の背に手を回し、強く抱きしめてくれる。
樹｢…ただいまー……｣
いつの間にか入口に立っていた樹に、｢空気を読めよ｣と思いつつも、Aが笑うから俺も自然と笑が零れた。
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年10月1日 22時
