6. ページ6
side_you
30分後
樹が近くの(と言っても自転車で20分程かかる)コンビニにアイスを買いに行って、部屋は私と北斗くんだけになった。
｢…あのさ｣
北斗｢ん？｣
｢もしかしてだけど…私と樹が一緒に暮らすの、不安？｣
北斗くんの手が止まった。
北斗｢……別に、平気だよ｣
そう言う北斗くんの笑顔は、切なく見えた。
｢そう…｣
無言の時間、気まずい。
何か喋らなくては…と思いつつも、いつも話題提供してくれるのは北斗くんだ。
話題が見つからない、私にそれは難しいらしい。
北斗｢…ごめん｣
｢…え？｣
沈黙を破ったのは北斗くんだった。
北斗｢本当は少し…嫉妬、してた……｣
それは北斗くんの本心だ…と思う。
北斗｢樹が…っていうことよりも、Aが他の男と一緒に暮らすってことに、それを俺に伝えてくれてなかったことに……｣
｢え…｣
私だ、私のせいだ…。
うちに同居人が来ることを北斗くんに伝えるか迷っていた、そして結局言えなかった。
北斗くんを不安にさせたくなかったから…。
でもそれが逆に、北斗くんを傷つけてしまっていた。
｢ごめん…でも私、そんなつもりじゃなくて……｣
北斗｢わかってるよ、Aは優しいから…気を使ってくれてたことくらい｣
｢でも…っ、｣
ごめん…って言おうとした私の口を北斗くんは優しく塞いだ。
ちょっとだけ触れる感じの優しいキスは、いつもの北斗くんだった。
唇を離すと微笑み、強く抱きしめてくれる。
北斗｢大丈夫だよ、俺はAも…樹も、信じてる｣
｢…うん、ありがと……｣
私も北斗くんの背に手を回し、強く抱きしめた。
樹｢…ただいまー……｣
いつの間にか入口に立っていた樹に驚きつつも、気まずそうな顔の3人がおかしくて笑い合った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 238人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さいか
| 作成日時：2018年10月1日 22時
