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Aの家は、THE・和式住宅。
今までマンション暮らしだったから、トイレにすら新鮮みを感じた。
A｢あとは2階だから｣
Aは淡々と部屋の案内を続ける。
謎の沈黙、なにか会話がほしかった。
｢そういやさ、Aって何組？｣
A｢4組だけど…｣
｢ふーん…俺2組｣
A｢へー…｣
話題が広がらない。
もう少しいい話題を提供すべきだった…
A｢ここが樹くんの部屋｣
樹…くん……か、
｢ハハハッ…｣
A｢なに？私なんか変なこと言った？？｣
Aの表情が初めて大幅に変化した。
｢ごめんごめん…、いやぁ、"くん"付けなんて久しぶりでさぁ…フフッ｣
A｢そう…なんだ、｣
｢樹でいいよ、俺もAって呼ぶし｣
A｢…了解した……｣
Aは、なぜだか納得したような顔をしていた。
俺の部屋は和室で、既に送っておいた荷物が部屋の7割を占めていた。
A｢これ、片付けられる？｣
｢だいじょーぶいっ！…あ！ベランダじゃん！！｣
片付けは…まぁ助っ人も呼んでるし、大丈夫だと思っている。
それより、視界の先に広がるベランダに惹かれた。
｢うわぁ！広っ！！…これ隣ってAの部屋？？｣
A｢そうだけど…｣
隣のAの部屋とベランダで繋がっていて、簡単に行き来ができそうな感じだ。
俺はもちろん、迷わずAの部屋を覗きに行った。
｢お前の部屋…パジャマ脱ぎ捨ててんじゃん｣
A｢ちょ、！人の部屋勝手に覗かないでよ！｣
慌てるAの反応がおもしろくて笑いがこみ上げてくる。
なんだ、こいつ…こんなにいい顔するんだ。
Aが自分の部屋から遠ざけようと、俺の腕を必死に引っ張っていた時だった。
｢ごめんくださーい｣
｢あ、きたきた｣
A｢え？｣
ベランダから下にいる北斗に手を振る。
樹｢ほーくーとー！こっちこっち！！｣
その名前に反応し、Aも下を見る。
松村北斗、こいつは学校で1番…かっこいい、モテる。
そんな奴がいきなり家に来たら…女子なら誰でも嬉しいはずだ。
今日からお世話になるAへのちょっとしたサプライズゲスト。
北斗｢おぉー、｣
と、下で微笑みながら手を振っている北斗。
俺を見て手を振っている…というよりもAを見つめている気がする……
そんな時、俺の腕を握っていたAの手が…いきなり解けた。
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年10月1日 22時
