億劫なほど/積田長幸 (ページ7)

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ゆびをおるのも億劫なほどページ7

大戦まであと1日。
私大宮沙幸はひどく困惑していた。
彼らが戦士として選ばれ12年に1度の十二大戦に出場することは戦士としては名誉なことだし、
それは強いと認められているからこそ選ばれてるのでありとても誇らしい事なのだが、私が困惑している理由は
十二大戦で生き残れるのは
だった一人しかいないと言う事だ。
そう私の親友はまぎれもない積田きょうだ…今は断罪兄弟だったか？
そうその悪名高き断罪兄弟・弟。巳の戦士の積田剛保である。
高校時代同じ爬虫類好きだと言うことで意気投合し卒業した今でも交流を続け家族より大切な親友。
そして私の恋人はその兄であり辰の戦士の積田長幸なのだ。
初めは仲が悪かったものの話すたびに惹かれていき今では夫婦と間違えられるほど仲のいい恋人。
もう彼なしでは生きていけないと言っても過言ではない。
私は小説家の為人間の死と隣り合わせに生きているわけではない。
たとえ自分がどれだけ人が死ぬホラー映画を見ようと殺人鬼の出てくる小説を書こうと、それはあくまでフィクションであり実際に存在しているわけではない空想の世界である。
だからこそ人の死を見てもなお正常でいられるしそれを娯楽として楽しむことができる。
もし撮影に使われている死体が本物の死体だったならばそれは見え方が変わってくる。
そう、彼らはその死体や血を普段から見て浴びている。その分死への恐怖は少ないのかもしれないしこの大戦も勝てば金のもらえる遊びとしか思ってないのかもしれない。だけど私は違う。
彼らが死ぬことに恐怖、不安、疑問し困惑する。
それに私のメンタルは好きな人の死を受けて正常でいられるほどできてはいないのだ。彼らのどちらかが帰ってくるならまだしも二人共が帰ってこなかった日には私には絶望しか残らない。
お願いです神様。
彼らはもしどちらかが生きていたとしても
片割れを生き返らせることはありません。
それは彼らの精神に反するから。
彼らが嫌いな偽善者…善人になってしまうから。
だからお願いです。
せめてどちらかが生き残れますように。
せめて死ぬなら安らかに死ねますように。
あの人たちが最後まで幸せにいられますように。
大きく深呼吸してそろそろ晩御飯の用意を始めよう彼らの好きなものばかりをたくさん作って楽しいパーティ。

彼らとの楽しい思い出(ものがたり)が。

ここで。

どうか。

終わりませんように。