億劫なほど/積田長幸 (ページ6)

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がんばるのも億劫なほどページ6

「おい、大丈夫かよ沙幸？締め切り近いんだろうけど少しくらい休めばいいだろ？」
そうやって彼女に心配の言葉をかけるのは弟の剛保。
もう彼女かれこれ3日一睡もせずにずーっとパソコンに向かっている。
彼女いわく『〆切が大戦の日でゆっくりちゃんとお見送りをしたいから死ぬ木で終わらせるので話す時間が少なくなるのは寂しいけどごめん！！！！！』だそうだ。
まぁ確かに寂しくないのかと言われればそりゃあ寂しいしだが彼女は俺様達との最後になるかもしれないお見送りのためにゆっくりと考えたい話を死ぬ木で終わらせようとしてるのだ。頑張って欲しい。
だがもうすでに3日。大戦まで後4日。
彼女が体調を崩してしまってはこっちも心配だし元も子もないのでそろそろ休憩してもらいたいところだが………
『あ、あと15ページなんだよぉ………あと最後のラストだけなんだよぉ………後日談だけだから………許して………死にそう………あとがきむり………』
と、ほんとに死んでしまうんじゃないかと焦るほど掠れた小さな声で言うので思わず
「はぁ…」
と溜息をついてしまう。
一度彼女の仕事部屋から出て自分の部屋に置いてあるブランケットを取りに戻る。
彼女部屋に戻り剛保にブランケットを渡し、
彼女の邪魔にならないよう剛保の耳元で「コイツに紅茶淹れてきてやるから、もうちょっとそばで見ててやってくれ」と伝える。
剛保から「OKだぜぇ兄貴」という返事が返ってきたところで彼女に紅茶を淹れる。
彼女の好きなミルクティーにしてやろうと思いながらお湯を注ぐ。
彼女やろうと思えば早いがやろうと思うまでに時間のかかる人間なのでもうすぐ終わるだろうと扉を見るとドタドタと走るような音が聞こえバンッ！と扉が壊れるんじゃないかと思うほど勢いよく開けられた扉から出てきた彼女が大きく伸びをして
『おっわったぁ～～！！！』
と声を上げながら入ってきた。
よかったなと思う同時に執筆速度は流石人気小説家様だが書くペース配分を考えろと苦笑いをする。
後ろから入ってきた剛保も似たような顔してやがるが。
彼女に淹れたミルクティーを渡すと『ありがとう』と返ってきたので素直に「おつかれさん」と言う。
「まだ昼だけど今日はゆっくり寝ろよ～？お前すぐ無茶するもんな苦笑」
と剛保が言うが『今日はゆっくり寝るけど無茶はしてねぇ！！！！』と言う彼女。
「反省してねぇな」
と俺様は言ってミルクティーを飲み終えた彼女を横抱きにしベットへ寝かしつけた。