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会社帰り ページ11

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珍しく「営業の後は直帰」という指示を受けた俺はいつもより軽い足取りで営業先を後にしたのだった。


...にも関わらず



「...........なんで今日に限って人が多いんだ」


人を分けて進むのが困難で、軽かった足取りはすでに重くなっている。


(くそ........足が限界だ...

少し休むか......)


どこかで休めはしないかと辺りを見回すと、運良く目の前のベンチが空いていた。

ほっとした俺は力を振り絞り駆け寄る。

ふと隣に目をやると、えらく顔が整った少女が腰掛けていた。


(学生か?こんな時間にどうしたんだろう

...美人だな)


彼女は少し俯いていたが、それでもわかる良い容姿だった。

そんな人の隣に座るのは気が引けたが、そのときの俺は疲労のが勝っており、ゆっくりと腰を下ろした。

やっと休めたことに対し深いため息を漏らす。

どこからか聞こえたしゃくり声と俺のため息が重なった。


「........ん?」


もしかして、と思い隣を見ると

美少女が声を押し殺して涙を流していた。


「!?

.....ぅえっ」


予想もしてなかった光景に戸惑いの声が漏れる。

涙を流すところもまた絵になる....じゃなくて!


「あの、大丈夫、ですか?

どこか具合でも.......」


周りの視線が痛い中、なんとか声をかけた。

お前らそんなに「俺が泣かせたのか」と言いたげな冷たい視線を向けるんじゃない...!!

少女は少しの間しゃくり上げていたが、こちらを向きはっきりと質問に答えた。


『......知り合いとはぐれてしまったんです。

ここに来たのは今日が初めてでして、何もわからず怖くて』


少女は

体調は優れています、と首を振りながら言葉を付け足した。

知らない地で1人でいるのは心細いだろう。

俺は彼女の背をさすりながら、


「あの、貴方が良ければ知り合いが見つかるまでそばにいましょうか、

1人でいるよりかはいくらかマシになるかと」

『え、そ、そんなの悪いですよ!

貴重な時間を使わせてしまいます。』

「いえいえ、今日はもう仕事が終わったので俺のことは気になさらず......

....ってよく考えたら、俺めちゃくちゃ気持ち悪くないか....?

初めて会ったばかりでこんなに詰め寄るなんて失礼にも程があるし...

はぁ、きっと彼女が知り合いとはぐれたのも俺のせいなんだ..

今日の朝やたら犬に吠えられたのも、途中定期を落としそうになったのも俺のせい....」

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レンコンさらだ - 千早さん» わー!!!ありがとうございます!嬉しいです〜!最近忙しくて更新がもっと遅くなっちゃってて申し訳ないです。精進して参りますのでよろしくお願いします! (2020年7月31日 0時) (レス) id: 4187762a0b (このIDを非表示/違反報告)
千早 - めちゃくちゃ面白いです!これからも頑張って下さい! (2020年7月28日 22時) (レス) id: 1137d622a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レンコンさらだ | 作成日時:2020年6月8日 2時

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