◆.｡55 ページ8
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翔｢…つーかお前こそ、｣
｢…ん？｣
翔｢…いや、いい｣
さっきの私のように何かを言いかけて止める委員長を見て
委員長だって人のこと言えないじゃんって思ったけど
俺は頭いいからいいんだよって言われそうだったから
それ以上何も突っ込まなかった。
それに今は…
不思議とそんな気力も無かったから。
｢…色々、教えくれてありがとう…私、途中で抜けちゃったし教室戻ろうかな｣
翔｢…ふーん｣
｢委員長は？｣
翔｢俺はどっかでサボる｣
｢はは、委員長なのに〜｣
翔｢文化祭なんか評定に関係ないからいいんだよ｣
｢うわ、確かにひねくれてる…｣
翔｢うるせぇ｣
この人がみんなに王子様って言われてるの忘れちゃいそうになるくらい
怖い顔で睨んでくるから
私は逃げるように、早足で廊下を歩いた。
保健室を離れると別世界みたいに人が溢れてる廊下を
早く抜け出したくて、
自分だけ取り残されたようになるこの感覚から
解放されたくて、
いつの間にか、人の間を掻き分けてひたすら走っていた。
.
ずっと胸の奥にあるこの気持ちがどこから来るものなのか
私は知ってる。
本当は怖い顔の委員長から逃げてるんじゃなくて
走って走って振り切らないと飲み込まれてしまいそうな大きな闇からだって
ちゃんと分かってる。
.
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和｢うわっ｣
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頭上から
窓が開く音と
私以外でそこを開ける唯一の人の声。
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和｢…ビッ、クリした…｣
｢…｣
和｢いやお前、軽くホラーだからなそれ｣
｢…｣
.
いつもの教室の窓から顔を出して私を見下ろしてる。
多分、その手には煙草があって
灰を落とすために窓を開けたんだろうな。
今はフランケンシュタインだから
なんにも見えないけど。
.
和｢…雨芽ちゃん、どうだった？｣
フーって、煙を吐く音が
頭の上を通り抜ける。
｢…多分、大丈夫だと思います｣
和｢…それは良かった｣
.
珍しく、センセイは静かで。
いつもならきっと
ぼっちなの？とか言って
こんな所で1人膝を抱えてる私を
ヒィヒィ言いながら笑うくせに。
そういう所がセンセイっぽくて
私はまた
意味も無く、抱えた膝をぎゅっと胸に引き寄せていた。
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skomiya0617(プロフ) - 更新頑張ってください (2020年6月14日 13時) (
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