最愛のリグレット。【Kazunari.N】2 (ページ11)

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｢…っ、｣

被り物を通してでも

センセイの手がずっと頭をぽんぽんしてくれてるのが分かって

なんだかそれが急に、恥ずかしくなった。

｢……センセイ、今きっとすっごく変な状況だよ｣

和｢ん？｣

｢高校生のカッコしたセンセイが、フランケンシュタインのカッコした私を慰めてるの｣

和｢ふ、確かにめちゃめちゃ奇妙だな(笑)｣

…なんでだろう。

センセイが笑ってくれると安心するの。

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『お前の恋は綺麗なんだよ』

『俺が言うんだから間違いねぇよ』

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…なんでだろう。

｢…センセイ｣

和｢ん？｣

｢もしかして今、煙草吸ってる？｣

和｢…今は吸ってないよ｣

｢…さっき吸ってたでしょ｣

和｢よく分かったね｣

｢…ダメですよ、センセイ今高校生なんだから｣

和｢はっ、やべ、学年主任のオッサンに没収されるわ(笑)｣

こんなふうに、

いつもみたいに、

ふざけてないと

胸の奥がムズムズするの。

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だから

だから、ね。

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こっそり顔を上げて

ネクタイ、首筋、顎のホクロ、口、って…

かろうじて空いてる穴から覗いて

やっと、センセイの目が見えた時。

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『…お前のその目、すげぇいいよな』

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真っ直ぐ私にあの言葉を向けた時のまま

蕩けそうなほど優しい目をして私の頭を撫でるセンセイがいて

同時に

心臓が、物凄いスピードで動き出したのを感じたんだ。

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｢…、セ、センセイ、私…もう大丈夫です｣

和｢…は？｣

急に立ち上がった私を

多分センセイは、ビックリして見上げてる。

｢フランケンシュタインやらなきゃだし｣

和｢…午前中ずっとやってたのにまだやんの？｣

｢…午後の子にシフト替わってもらう｣

和｢いやそれ入り過ぎだろ(笑)｣

だって、

だって、そうでもしないとなんか…

ダメなんだもん。

自分でもよく分からないけど

でもここにずっといたらダメってことは

なんとなく分かるの。

｢…だからその、ありがとうございました｣

和｢…ほんとに行くの？｣

｢…はい｣

じゃあ、またって

くるっと身体を90度回転させて走り出したら

後ろから聞こえた、｢頑張れよ！｣って声に

鳴り止まない心臓の音がまた、そのピッチを上げた。

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