【銀魂】最強少女も彼の前では最強でなくなる。

55* 狙いは ページ7

「今日集まったのは、連日続いてる人斬りの件だ」


「……！ 人斬りって」



議題が思ったよりも深刻だったのか、流石に総悟も黙って耳を傾ける。

相変わらず、自分の彼女の腰から手を離しはしないが。



「何でもそいつァ若い女ばかり狙ってる。これまでに発見された遺体は全て若い女だった。

……昨日、橋の下で遺体が発見されたが…そこで妙な点が判明した」


「妙な点…？」


「あァ。これまでの遺体には服装の共通点があった。……全員洋服だ。

A……会議に参加させたのは他でもない
――お前の命が狙われる可能性があるからだ」



鋭い目つきで彼女を睨む土方。

思わず、ごくりと唾を飲む。


すると、総悟が、彼女の腰に回していた手を自分の方へと引き寄せて抱きしめた。



「心配いりやせんぜ土方さん。こいつには俺がついてるんで。

それとも何ですかィ？ ……Aを、俺が守りきれねェって言いたいんですかィ」


「……、んな事ァねェよ…」


「ハハハ！！！ 総悟は頼もしいな！！
Aちゃん！ 総悟が彼氏なら、安心だな！」


「そうですね。
総悟、殺気抑えて」



土方に見せつける様にAの肩を抱く。

どうやら、Aは悪戯だと分かっている時はドキドキしないようだ。


しかし、どこに沸点があったのか突然殺気を一直線に放った総悟に、鬼の副長でさえごくりと唾を飲んだ。

そして、空気の読めないゴリラ。



「―…今日の議題はこれだけだ。Aは人一倍気をつけろ。それから総悟はなるべくAから離れるな。

……あと、始末書と報告書の提出がまだの者がいるな？ 急ぎの書類はすぐ提出するように」



最後の土方の言葉はまるで聞こえなかったふりして、ぞろぞろと帰っていく隊士に紛れて帰路を行く二人。



「――私、今日から着物に変えようかな」


「ダメでィ。敵からの贈り物を身につけるなんざ…」


「じゃあこの服で出歩いて襲われてもいいわけ？」


「寧ろ現れてくれた方が好都合でさァ。探さずに済まァ」


「うっわ自分の彼女おとりに使おうとしてるよこいつ」



すると、総悟が彼女の右肩を掴んで自分の方へと向かせた。



「てめェは黙って俺に守られてりゃいいんでさァ」


「……！」



おでこに軽いキスをして、部屋を出る総悟。
思わぬ行動に、彼女はほんのり赤くなってしまった。



「総悟」


「あー？」


「スカーフ結べてないよ」


「直せ」


「はいはい」

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