66* 怒る理由は? ページ18
「――いやぁ総悟! お手柄だったな!」
早朝。
――日付も変わりそうな昨日の晩に、私は襲われた。
しかしそこを総悟が助けてくれて、私は助かった。そして連日の人斬りの犯人も捕まえられた。
目の前には総悟を褒めちぎる近藤と、何も言わず彼女と総悟を交互に見る土方。
二人の間には、何か異様な空気が張り付いていた。
「おい、お前ら……」
「よし、総悟もAちゃんも疲れただろう!
総悟、今日は非番だ! Aちゃんと過ごせ!」
「っおい、近藤さん…!」
終始無言の総悟が立ち上がる。
そして、びくりと肩を震わすA。
ははは、とまるで空気の読めない近藤の笑顔に、彼はぺこりと頭を下げて彼女を一瞥した。
「おい、A…」
「……失礼します、」
「……!」
――関わるな。
目で、それを土方に訴えているようだった。
どこか寂しそうで、悲しそうな背中。
意図を汲み取る事が出来ぬまま、二人は襖の向こうへ消えていった。
「……」
「……」
昨日まで、仲が良かったはずの二人。
嘘のように、静かで重い距離を開けていた。
――事は、数時間前の、事件直後に遡る。
__
「……ふ、」
チャキン、総悟が刀を鞘に収める。倒れているのは人斬りの犯人。
軽く息をついて、持っていた手錠で男を拘束すると真選組に連絡して、携帯をぱこ、と閉じた。
「―…A」
「…っ、そう、ご、」
「……あれ程言っただろィ…一人で出掛けるなって」
「でも、私なんか大丈夫って、思って…」
「んだよその発想は…」
今日は色々あって妙に苛ついていた。
なのに、彼女が人斬りに襲われていたのだ。
終いにはこの女は苛つく喋り方をしやがる。
心配しているのに、自然とべらべらと言葉だけが走っていく。
「何で逃げなかったんでィ…まず逃げるべきだったろうが…!」
「でも…携帯落としちゃったし、それに、」
「携帯が自分の命より大事かィ?
それに、って何でィ。……まさか、戦えるとでも?」
「……っ、」
意味も無いのに、彼女に八つ当たりしてしまう。
違う、こんな事が言いたいんじゃない。
「弱ェ奴が……出しゃばってるからこうなるんでさァ…!」
「――…」
酷く後悔した。
見たこともない、傷付いた顔。
訂正しようとしても、開いた口が塞がらない。
「――弱いって、…そう、思ってたんだ」
「A、」
「知らない……っ馬鹿、っ大ッ嫌い!」
――そして…現在に至る。
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桃 - うぇ!? なんですかこの作品!…………神じゃないですか!! 作者様神ですか!? この神作品を作ってくださって有難うございます!いつまででも更新待ってます! (2018年10月3日 19時) (レス) id: 6ebd955238 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井(プロフ) - 主人公とキャラの駆け引きがとっても自分のタイプです!これからも応援しています! (2018年4月3日 22時) (レス) id: 2e9a8055ee (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - これからも頑張ってください! (2018年2月10日 12時) (レス) id: 5460fa1ff4 (このIDを非表示/違反報告)
さらんりちぇ(プロフ) - 総悟大好きなので、すごく面白いです!これからも更新がんばってください! (2018年1月31日 20時) (レス) id: f4f18cc943 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 沖田くんオチですか。…沖田くんオチって意外と人気あるんですよねコレが。こんな駄作者な私でも100hitも行けるくらい。沖田くんはやっぱ最高だった。続き待ってます。と言っても最後のセリフは完全に襲う気マンマンだけど。 (2018年1月8日 6時) (レス) id: 2ca11f0d25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2017年10月29日 20時