【銀魂】最強少女も彼の前では最強でなくなる。

49* おあずけくらいやした ページ1

「…A」

「……！」


ゆったりと顔が近づける。
薄い上唇すら愛しく感じて目を閉じた。

……しかし、その瞬間ものすごい衝撃が俺の額へと加わって。


ゴス、


「いっ……！？ 何しやがるんでィ！」

「キ、キスはっ！ キスは……だめ」

「……は？」


鈍い音がして、やっと俺は目の前の憎たらしくも惚れてしまったこいつに頭突きをされたのだと気づく。

さらには、こんなことまで言いやがってきたA。
……あぁ、頭がガンガンする。いや、物理的にも。


「キスが駄目だァ？ そりゃ一体どういう事でェ」

「な、なんでもだよ…っ私だってし、…たい」

「んじゃ腰抜かすぐらいしてやりまさァ。だから手をどけろってんでィ」

「駄目なの…！ 絶対だめ！」


何が楽しくて俺がこんなにキスをお預けされなきゃいけねェんだ。

だが思ったよりもこいつは力が強くぎりぎりと戦争が続く。
そんな間もふつふつと忿懣は募り、やる気は失せて気付けば突き放すようにAの手を離していた。


「あーそうかいわかりやした。
さてはてめェ俺がかっこよすぎて照れてんだろィ」

「あ…当たり前でしょ！ 付き合ったのも初めてなんだし…！」

「…………処、」

「だめぇ放送禁止用語ォ！」


わーわー騒ぎ立てながら俺の口は白く小さな手によってゆるく塞がれる。

ふわり、鼻に心地の良い甘い香り。


――おいおい。こんな積極的に俺を刺激しといて、キスNGは勘弁してくれ。


「駄目だ。我慢できねー」

「だっ…だからダメって言ってるでしょ！」

「んじゃ理由くらい教えてくだせェ。何も無しにただお預け食らうんじゃ黙ってられねェでさァ」

「……だって……私…」


うなじまで真っ赤にして俯く目の前の女。
なんだこいつァ。今すぐ襲いてェ。


「今さっき、銀ちゃんと……しちゃったんだよ
そんな唇で……総悟とキスしたくないよ…！」

「……成る程、」


まったくもって訳の分からない納得のいく言い訳。

俺にとっちゃどうせこいつは俺のモンになったんだから過去に誰と乳繰り合おうが関係のねェ事だが、俺を見るAがあまりにも可愛かったもんで、少しは我慢してやろうと心に決めた。


「……ハァ、わかりやした。なら、俺はいつまで待ってりゃいいんでィ？」

「いつまで…って……
え、……いつまで、だろう？」

「……おい、そりゃねェぜ」



前言撤回。
我慢なんてしねェ。



ぜってーこいつの【自主規制】を奪ってやる。

50* 武士は食わねど高楊枝→

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