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ナイトやウェイターの寮と店の間にガーディアンの寮がある。
何かあれば両方へ直ぐに駆けつけられるように。
ふらっとその寮の中に入る。
勝手知ったるでずんずん入って行き開けた扉はガーディアンたちのトレーニングルームだった。
何人かの隊員がいて入って来た智を見る。
「なんだ、とうとうナイトほりだされてガーディアンになったのか？」
「………」
隊員の何気ない一言に落ち着いて来た気持ちが揺らぐ。
「そっちのが楽かな、俺的には……
相手してよ」
手近な隊員に声を掛ける。
いつもと様子が違う事に訝し気に見るが、本人は黙ってフリースペースに移動した。
「誰か〜」
「はいはい」
近くにいた隊員が返事をして智の前に向かう。
「何かあったのか？」
「うん、色々？」
何故か疑問系で答える。
大きく深呼吸して相手を見据えた瞬間、先手必勝とばかりに姿勢を下げて一歩を踏み出す。
全体重をスピードに乗せて確実に鳩尾目掛けて肘を打ち込む。
辛うじて躱されたが、相手の腕を持って軸にしてスピードはそのままに床を蹴って首元目掛けて蹴りを入れる。
首元に腕を入れ直撃を避け弾き返しながら掴まれた腕を剥がす。
そして一歩引いて間合いを取った。
「全力で急所狙いに来るな」
「ちっちゃいから徹底的に急所狙えって教えてくれたじゃん」
確かに教えた。
……周りで見てる隊員も頷いた。
言われた事を実直に遂行している。
誰よりも小さかった智に武術を教える際、急所を狙う事を進めた。
しかも出来るだけスピードと体重を懸けた一撃をと……
体が大きく鍛えられた敵と戦うならそれは必須となり徹底的に教えられた。
それを忠実に守っている。
そして都会の中とはいえ子どもながらに１人で生きて来た智は本能的に相手の急所を見極める目と感覚を持っていた。
「こっちからの攻撃が挟めないな」
「確実に急所だけを狙って来るのがわかってるから避けられるけど」
「ああも連続で来られると防戦一方だ」
「初めて対峙する奴は一撃だもんな」
「あの小ささに油断する」
「防弾具の隙間狙うしな」
「ナイフだろ、危ねぇよ」
「銃もナイトの中じゃあ、ピカ一だ」
回りに人が増えて来て智を見て口々に称賛の声をあげる。
「ガーディアンに欲しいよな」
「でも今じゃ、クイーンだろ」
「クイーンねぇ……
想像出来ないな」
「おっ、スピードが落ちて来たな」
「体力がない訳じゃないんだけどな」
「常に全力じゃ先に切れる」
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年2月10日 8時
