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自分の部屋にいても落ち着かなくて控え室に来てみたけど尚、緊張した２人。
「大丈夫。
ずっと見てきただろ。
ナイトになる為に頑張ってきたんじゃないか。
出来るよ、２人とも」
ふわふわ微笑んでいると後ろからもしがみつかれる。
新人ナイトに前後を挟まれて智は苦笑した。
それでも何も言わず微笑んでされるがままになっている。
後ろから回ってきた腕と前にある背中を優しく撫でる。
「皆、知ってるから。
誰より頑張った２人だと。
ナイト全員一致で選ばれたんだよ。
ナイトを信じろ」
ナイトになる為に頑張ってきた。
ウェイターでも充分な給料はある。
その金額で満足する者。
ナイトの接客に尻込みする者。
ウェイターの仕事にやりがいを感じる者。
その中で彼らは上に上がるんだと頑張った。
ナイトの条件を満たす為に。
そして選ばれた。
なのに上がった途端込み上げてくる不安。
「おまえらはちゃんと出来る子だからな」
「子どもじゃないし」
智は前から憎まれ口が聞こえるとくすくす笑いだした。
「ひよこの毛が白くなった程度だろ。
頑張って鶏冠生やしやがれ」
「生憎、俺は軍鶏なんで白くないんだよ」
「おっ……。
じゃ、斑だな。
水玉の軍鶏ぉ〜」
「なんだよ、それ」
見守っていたナンバーズたちの間からくすくすと抑えた笑いが漏れる。
智の背中からも笑いを抑える震えが伝わってくる。
「なんで水玉なんだよ」
「斑になりきる前だから？」
水玉が広がって柄になるわけではない。
なのに皆、想像してしまったのだ。
黄色地に黒や茶色の斑な鶏を……
「ん、いつものニノだね。
どっちも大丈夫なら、悪いけど離れてくんない。
スーツ皺になりそうだし、潰れるわ、俺……」
前後からしがみつかれて圧迫感がある。
「あぁ〜すみません！」
「失礼……」
後ろは慌てて離れたが前は顔を上げるとほぼ真正面に顔がある。
離れ際……
…………
「これで頑張れるよ」
「………」
こんなんで頑張れるのか？
安いなぁ〜……なんて思っているのは……された方。
回りも特に騒ぐでもなく、ただ心の中で
こいつもか……
と呟くだけだった。
「あぁーーー！
俺もっ！！」
一緒にナイトに上がるのだから同じがいいのか？
………大バーゲンだな。
本人含む皆が思った。
特に本人になんの反応もないあたり店内常習化しているらしい。
「あっ、雅紀もしてやれば？」
「はぁっ、そっちは結構だよ」
「そう言うなよ」
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年2月10日 8時
