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和也＆和也のややこしコンビはややこしいので名字からのあだ名を呼ばれる。
ナイトは絵札と数字呼びで、ひよことお花ちゃんが店で名前を呼ばれる事もない。
呼ばなくても気付いて動かなければならない。
名前を呼ぶのはプライベートだけだ。
雅紀はまだぶつぶつ言っているが急かされて車に乗り込み出発する。
街中をうろうろするよりはと大型ショッピングモールへ向かう事にした。
平日の昼間なら然程混んではいないだろう。
それでも少なくはない人混みに尻込みする智はニノにぴったりと引っ付いている。
男２人が引っ付いているのに何故か気持ち悪さがなく、どちらかと言うとボーイッシュな女の子が２人引っ付いてくすくす笑っている感じがする。
そんな２人を後ろから眺めて笑いを堪えながら歩いている潤と雅紀。
「なんだろうね、あの２人」
「なぁ、ニノも智が拾って来たのか？」
ふっと思いついた潤が雅紀に問い掛ける。
「ううん……
智が拾って来たのは俺と潤だけ」
ここに来るまでの車の中で名前や趣味とか話はしたが、店で働き出した経緯や智に引っ付く理由は聞いていなかった。
「智はさ、よく１人でふらっと飲みに行くんだ。その時おっさんたちに絡まれてるニノを助けたんだって。
智は覚えてなかったんだけどニノ曰くね。
で、颯爽と消えてった智に礼を言いたくて探しまくったみたい。
やっと見つけて一緒に飲んだら潰れて仕方なく智が寮に連れて帰って来たんだ」
結局持って帰ってるのではないだろうか？
拾ったと持って帰った……どう違うのか……
「俺も潤も行くとこがなかっただろ？
あいつは家はちょっといいめの家庭。
どっちかつうと一人っ子で甘やかされた感じ？」
雅紀も行く所がなかった？
ニノの話より最初の言葉の方が気になった。
「行くとこなかったって？」
「えっ、俺？」
ニノの話をしていた筈なのに自分の話に食いつかれ驚いた。
「俺……かぁ。
……悪いけど帰ってからね。
こんなとこで話せないかな……ごめん」
「あ、いや……俺こそごめん。
そうだよな……」
目に見えて沈む雅紀に話を振った潤が慌てる。
行くとこない……自分と同じだとそう言った。
少し前の自分と同じなら家族が突然いなくなったのかもしれない。
そして１人取り残された。
ならばこんな所で話す内容ではない。
考えるよりも気になって聞いてしまった。
忘れていた。
あの店の従業員の何人かは潤と同じように訳ありだと言う事を……
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年2月10日 8時
