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冬休み……
早々に一部、引っ越しに追われる。
「智、終わった？」
一緒に引っ越しを余儀なくされた雅紀が智の部屋に顔を出す。
「うん」
「まじ？
俺、終わんないよぉ〜」
泣きつきながら見ると段ボール３つがちんまりと置いてあった。
「こんだけ？」
「うん。
夏服と日用品、冬服のとなんか色々貰ったのとで３つ」
……いくら家具がついていると言っても少ないにも程がある。
確かに家具の他、食器なども備え付けだ。
小さく梱包するものはほぼない。
それでも数年暮らしていればちまちまと荷物は増えて行く。
雅紀はすでに段ボール７個でまだ終わらないと泣き言を言いがてら休憩しに来た。
「糖分補給したら手伝おうか？」
「いいの？」
「終わらないんだろ？」
「うぅ〜……」
呻きながらも頷いた。
これから移動するカラーズの部屋は昨日のうちに荷物は運び出されハウスクリーニングも済んでいる。
次いで自分たちが移動しないと後のナイトに上がる２人が移動出来ないのだ。
「今までしてなかったの？」
「すぐ終わると思ってたんだよ。
思ったより荷物が多くて終わんない」
「雅紀、買い物好きだもんね。
買い物大好き雅紀に頼みたい事があるんどけど」
「何？
……何？」
智からのお願いは滅多にない事だから雅紀のテンションが上がる。
「潤とさ、買い物行ってよ。
色々買い足さないといけないだろ。
でも俺じゃ、よくわかんないからさ」
物欲がない智には何をどう買い足せばいいのかわからないし店もわからない。
最初に揃えてもらったものを無くなったり壊れたりしたら同じものを買い足す。
新しい何かを買う事はほぼない。
誰かがプレゼントしてくれて使ってみてよければまた買う……それだけだ。
だから買い物大好き雅紀に頼むのが一番だろうと思い付いた。
「智も一緒に行こうね。
ランクアップがんばろう会しよ」
突然の申し出に智はきょとんとした。
「買い物に俺いらないだろ」
「一緒に行くの！
で、美味しいもの食べて飲も」
すっかり一緒に行く気満々だ。
智は小首を傾げて雅紀を見る。
「一緒に行きたいんだよ！」
「……どうしても？」
「どうしても！
潤だって智と一緒に行きたいよね」
ちょうど豆大福とお茶を持って来た潤は急に話を振られてきょとん。
「智も一緒に買い物行こうって。
で、美味しいもの食べて飲みにも行こうって誘ってんの」
「あぁ、そうだね。
一緒に行こう？」
「………」
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年2月10日 8時
