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彼の周りにお花畑が見えた。
本当に幸せそうな笑みを浮かべている。
ケーキ１つで幸せになれるらしい。
「潤もコーヒーいる？」
問われて考える。
さっき飲んだけど冷えてしまった。
美味しかったような気はするが冷えたから味が半減か……
「自分で入れるよ」
「わかった。
ケーキかなんか食べる？」
「それはいらないかな」
「美味しいよ」
言いながら２人で並んでコーヒーを入れて雅紀は迷った末にフルーツがたっぷり乗ったケーキを皿に乗せた。
雅紀は智の隣に座ってケーキの皿を智の前に置く。
「味見するでしょ」
「うん、ありがとう」
お花畑の次はハートラッシュ。
こんなに幸せそうにケーキを食べる男子って……
「美味しい」
「「ねぇ〜」」
ねぇ〜がハモっている。
２人でニコニコしながら２つのケーキをシェアして時に顔を合わせて
「「ねぇ〜」」
を繰り返す。
見ているだけでお腹がいっぱいになる。
視線を反らし、コーヒーを飲む。
……旨い。
よく見るとカップも高そう？
「このカップって……」
「お高いよぉ。
客に出す食器は勿論、俺たちが使うのも家具も特注品」
客に出す分はわかる。
何故スタッフ用のまで特注品？
「慣れる為だよ。
そういった物を大切に上品に使えるようにって。
ボロが出たら困るだろ」
「そんなの気にしてない客が多いけどな。
でも中には日常的にそういうのしか使ってない客もいる。
その客の中には相手を値踏みするのがいるんだ」
「高いグラスだぁ〜ってびくびくしないようにしないようにね」
ニコニコ笑ってるこの２人こそ、最初はびくびくしてただろう。
容易に想像出来てしまう。
「おまえら何やってんの」
扉が開きナイトが顔を出す。
「もうなんでカラーズの控え室で寛いでんの？」
「「あっ」」
どうやら智は潤を、雅紀は智を迎えに来た事を忘れていたようだ。
食べた食器を片付けて、そそくさと自分たちの控え室に戻る。
戻って歯磨きをして鏡の前で身嗜みのチェックを入れる。
時計を見て智は扉へ向かう。
「潤、よろしくね」
誰に向かってどうよろしくなのか謎を残して扉の向こうに消えていく。
「なんで店ではちゃん話せるのに店出たら不自由になるんだよ」
「店では口数少ないよ。
聞くに徹してるからね。
笑顔と相槌でなんとかなってるんだよ、智は」
と雅紀がフォローになっているのかいないのか、よくわからないフォローをする。
「日本語が一番苦手なんだよ」
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年2月10日 8時
