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……問われて暫く考える。
「健ちゃん移行すればジョーカーならいるじゃん」
「笑い転げたよ」
……想像出来た。
自分がクイーンと言われて腹抱えて笑い転げる現ジョーカー……
「むぅ〜」
何も言えなくなって、上目遣いで睨む。
そんな智の頭を優しく撫で
「何時でも飲みに来いよ」
「無料？」
「……最初の一杯だけな」
「一杯飲んで帰る」
「せこいな。
態々山降りて一杯？」
「………」
「光一さん、俺も〜」
雅紀参戦。
「皆、来そうだな。
２杯以上飲んでけ。
１杯目は奢ってやるから」
「おまえの給料からな」
隣で黙って聞いてたもう１人がぼそりと呟く。
「マジか？」
「当たり前だろ。
皆、それ目当てに来たら売り上げにならん」
最もな意見に黙る。
「でもさ、男前が集まる店って女の子が増えるならOKじゃね？」
「なんの話してんだよ」
また１人車に乗り込む。
「がたいのでかい奴は前へ行け」
だが真ん中に乗ろうとして拒否られる。
確かに今、車の中にいる誰より体付きはがっしりしている。
「酷いなぁ」
そう笑いつつ素直に助手席に座った。
「乗った〜。
車出していいぞ」
もう１人が乗り込んで運転手に声を掛ける。
それを確認して車は動き出した。
車内は智が拾って来た潤の話題になっていた。
誰一人同情する者はいなかった。
憐れむ者もいなかった。
あっさりし過ぎる程に。
「この店で働いてれば見るよ」
「それに……ここで働く奴は大概訳有りだしな」
「好奇心だけの奴もいるけどな」
急転直下な人生もあるあるな世界。
訳有りの訳は人の数だけある。
「このまま不幸だと呪いつつ生きるのか、跳ね返して楽しく生きるか、何かを掴むか……自分で選べばいい」
「自分の人生だからさ、自分で決めればいいんだよ」
そう男たちは言う。
自分で這い上がる為にこの仕事を選んだ男たちが……
裏口から纏まって入りエレベーターで３階まで上がる。
降りた先、手前の部屋に雅紀と智が潤を伴い入って行く。
「ここがナンバーズの控え室。
廊下の奥にカラーズの控え室があるんだ」
「ここのカーテンを開けると店内が丸見え。
マジックミラーだからお客さんからは見えないんだよ」
智と雅紀が説明する。
雅紀がカーテンを開いて手招きして潤を呼ぶ。
行って見ると確かに店内が一望出来た。
「それとね、あっちのテーブルの上に置いてある夜食は適当に食べていいよ。
途中お腹空いちゃうからね」
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年2月10日 8時
