２９ それでも、ずっと ページ29
「何で……何で雅紀まで戻ってんの？
あの方に何かあったのか？」
「落ち着いて下さい。
あの方は深い……深い眠りの中におられます。
雅紀様の記憶が戻ったのは恐らく神の雨のせいでございましょう
和也様、潤様も同じく」
そう説明され少しづつ記憶が整理されて来たのか和也と潤は背中の翼を２度３度小さく羽撃かせる。
「翔さん……俺らどうしたらいい？」
不安気な声で潤が翔に尋ねる。
その声を聞いて翔は智に治めろと言われた言伝の真の意味を悟った。
自分に託されたのは残る３人の事なのだ。
「おまえ達はどうしたい？
ってか記憶としてはどうなっているんだ？」
「ごめん……自分が何者でその使命の記憶はある。
でも……そんな事できない。
例え神の意思に背く事になっても」
「会った記憶もない神の命令より、ずっと一緒にいた皆とまだずっと一緒にいたいと思う程に。
虫のいい話だけど……」
沈む２人。
記憶に残る神の命令。
神に関する記憶はそれだけだ。
だが皆とは楽しい事も辛い事も色んな事を共有し過ごして来た。
そう…神の命令も与えられなかった感情も記憶にあるが、人間として生きて来た間の楽しい思い出もその時の感情も感動も記憶の中にたくさんある。
否、人間として過ごした日々の記憶が殆どなのだ。
まだ仲間といたいと思う程に……
「俺だって一緒にいたいよ。
その為にあの時、一生懸命……歌って踊ったもん。
少し怖かったけど俺は生きてるから大丈夫。
それよりまた一緒にいられる方が嬉しいよ」
２人に命を狙われていた事を思い出しても尚、雅紀は心からの笑みを浮かべる………それは柔らかく温かく優しいものだった。
「俺も同じ。
俺と雅紀には実害はなかった。
智くんのおかげなんだけどね。
あの人もあの人なりに、おまえ達の事を気に掛けて取り戻そうとしてくれた。
おまえ達を取り戻してくれたあの人に感謝するし、戻ってくれたおまえ達にも感謝しかないよ」
「「……ありがとう」」
翔の何時もと同じ穏やかで優しい声と言葉と雅紀の温かくて柔らかな心に２人は礼を言う以外、言葉はなかった。
「皆様……撮影再開となりますが」
背後から現実的な言葉が投げ掛けられる。
「えっ、ああ……そっか。
そうだな」
「あっ、でも大ちゃんは？」
「代役がおります故、仕事には何の問題もございません」
「代役って事は戻って来れないんだね、あの人は」
「はい……お眠り致しております」
その眠りは深さは如何程……？
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蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました！ (2021年10月18日 13時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした！面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです！ (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2021年9月28日 2時
