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そして気づいた。
……父ちゃんはぶら下がってた。
その言葉の意味する事。
首……吊ってたんだ。
それを把握する前に連れられて来たのか？
借金を返させるために？
小学校は３回しか行ってないって事は半年以上前だ。
それからずっと？
変態親父たちの相手をしているのか？
訳のわからないまま、ずっと。
この子の境遇を考えたら自分が片足突っ込んだ世界の恐ろしさを初めて感じた。
だけど……このまま、この子をほっておく事はできなかった。
下っ端の下っ端の俺が口出しなんてできないけど守らなきゃって思った。
こんなに小さいのに過酷過ぎる境遇で生きなきゃならないこの子を１人にできなかった。
そう思ったら目の前で佇むこの子を抱き締めていた。
だけど……
「や、やぁ〜！」
驚いて泣き出した。
俺も驚いたけど、そうだよな。
ずっと知らないおっさんたちの好きにされてるんだから怖いよな、急に抱き締めたら……
「ご、ごめん。
何もしないから、このままぎゅってさせて」
でもどうしても離したくなくて硬直しながらカタカタ震える小さな体をそっと抱き締め柔らかな頭をそっと撫で続けた。
そのまま抱き上げソファーに座り膝の上に座らせて震えが止まるまでずっと……
暫くして漸く何もしないとわかったのか震えが落ち着いてきて、そっと俺に凭れかかってくる。
「あったかい……」
そう呟いた声は幼かった。
それから俺は智を中心に動いた。
智の予定を把握し帰ってくるまでにメシの用意も風呂の準備もしておいた。
料理の本も買った。
夜は一緒に寝て魘される時はそっと抱き締めた。
その内、智の方から寝惚けながらすりすりとすりと寄って来るようになった。
起きたらメシ食って小学校のドリルを少しずつやる。
俺の膝の上に座って一生懸命。
そして仕事に送り出す。
ついては行かない。
俺はここで智を待つと決めた。
俺が智を男たちに渡したら駄目なんだ。
唯一安心できる場所になるために。
壊れそうな智を守るために。
そうして智は少しずつ俺を信用し懐いてくれた。
やはりお父さんは借金とそれを作って姿を消した妻に絶望し首を吊ったらしい。
それを見て呆然としていた智を取り立てに行った組員が見つけそのまま連れ帰った。
金の回収のために。
そして今に至るんだ。
智はいつも紙袋で３つに分けた僅かなお金を大事に持っていた。
それを俺が与えた袋に入れ直した。
それは貯める分とその時に使う分。
そして消えた弟の分。
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蒼羽(プロフ) - 夏樹さん» ありがとうございます。ちょっと寄り道してましたが、続き始まりました？ので、これから後半に向けて頑張ります。応援ありがとうございます。これからもよろしくお願いします！ (2021年1月24日 22時) (
レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
夏樹 - 楽しみにしながら、小説の続きが読みたいです。 (2021年1月24日 22時) (携帯から) (レス) id: f3c5bb2111 (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます。面白いそう言っていただけて嬉しいです。頑張りますので、よろしくお願いします。 (2021年1月17日 11時) (レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
猫 - 小説面白いです更新待ってます (2021年1月16日 23時) (レス) id: c3d8a6651c (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽(プロフ) - 明さん、コメントありがとうございます。毎日２話が限界で申し訳ないです。時々滞りますが……寝落ちして更新しそびれる……なんて事もありますが。できる限り頑張りますので、これからもよろしくお願いします。 (2021年1月12日 21時) (レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年12月29日 16時
