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「翔ちゃん！」
挙句にその顔とは別に聞き覚えのある声が後ろから。
なんだ、これ？
後ろって事は俺が面接に行った会社にいたって事か。
……だったら………ここは駄目だな。
気付かれてないなら、そのまま気付いて欲しくないから下を向きゆっくり進む。
彼は歩くのが早いから俺を追い抜いて行くだろう。
追い抜いたら横道に入ればいい。
会いたくないし……できれば、これ以上想い出したくないし関わりたくもない。
まぁ……どうせ俺の事なんて忘れてるだろうけど。
だとしたら自意識過剰か、俺。
笑えてくる。
俺の自業自得なのに裏切られたと勝手に思った。
でも、やっぱり……俺が悪いんだ…と結論付けた。
そして記憶の隅に追いやったのに……
でも無理矢理…浮上させられて…また想い出して…それでもどうにか日常に戻ろうとしているのにで
目の前にあった顔と後ろから聞こえた声に否が応でも想い出させる。
最初の想い。
もう想い出させないでくれ。
俯いた俺の横を通り過ぎて行く時に香る覚えのない香りを纏っているのに……その奥にある彼自身の香り。
その香りにぎゅっと胸が締め付けられる。
過去の香りなのに……
まだ思い出せてしまう。
その香りの主の後ろ姿だけ……ほんの少しだけ見たくなって顔を上げた。
……瞬間、目の前にある見覚えのある顔のその人と目が合ってしまった。
………気付かないで。
………忘れていて。
………俺の存在を消していて。
そう…願ったのに………恨むよ、君の記憶力。
「智くん……」
逃げたい……逃げなきゃ………
そう思うのに体が動かない。
最後は辛く悲しく苦しい想いに変わったけど……
楽しくて嬉しくて幸せだった時間も確かにあった事を想い出して囚われる。
君の声が優しくて心地良かった。
君の笑顔が朗らかで眩しかった。
２人の温もりが落ち着けた……そんな日々も確かにあった…………筈なのに。
消えた。
消したのは………俺。
幸せと罪悪感に苛まれながも……やっぱり幸せの方が大きくて…………手放せなかった。
結果…………大事な者を全て失った。
「智くん………だよね？」
「えっ、大ちゃん？」
駄目だ！！
２人の邪魔をしちゃ……
２人を不幸にしてしまう……
また……繰り返す？
駄目だ！駄目だ！駄目だ！駄目だ！駄目だ！！！
俺は漸く動いた足でその場から逃げ出した……
「ちょ、ちょっと待って！」
「逃げないで！」
逃げなきゃ………今度こそ俺は消えて無くなりたくなる。
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蒼羽(プロフ) - 青子さん» 初めまして＆コメントありがとうございます！…もう嬉しすぎます。青子さんのお話もお気に入り入れて何度も読み返させて頂いてます。そんな方からのコメント嬉しすぎます。拙いお話にお付き合いありがとうございます。しかもタニス・リーファンだなんて…頑張れます！ (2021年11月26日 22時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
青子(プロフ) - 今回のラスト、まさかまさかでした。この先があったら、なかなか怖い事になりそう…などと妄想しております。蒼羽さんの作品をこれからも楽しみにしております。モンスターの太郎ちゃん、一郎君兄弟、楽しみにしております。最後にタニス・リーのファンです。 (2021年11月26日 16時) (レス) id: d98076db62 (このIDを非表示/違反報告)
青子(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます。蒼羽さんのお話は全部読ませていただいております。毎日の更新本当にありがとうございます。 (2021年11月26日 15時) (レス) id: d98076db62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年11月26日 0時
