尾行と疑惑 ページ22
いや、私だって最初は先輩の言う通りにしようと思った。
けれどやはり心配なのだ。
だから尾行している。うん。
尾行と言っても50m以内の距離だと気付かれてしまう。
そこで異能の出番だ。
私は異能で常に先輩の位置を確認しつつ、100mほど離れて歩いている。
正直言って、かなり疲れる。
が、中原先輩のためならどうって事はない。
余裕だ。
「ん……?あそこにいるのは……」
現在、林の中を進んでいるのだが、前方に大勢の人間が見える。
何者かを取り囲んでいるようだ。
そしてその"何者か"は――
「太宰治!?」
奴に銃を向けている人たちには見覚えが無い。
すると組合の構成員たちか。
ははあ、なるほど。
あそこに見える小屋の中、さてはQがいるな。
しかしなぜ中原先輩がそこに向かっているんだ?
…………まさか。
刹那、中原先輩が近くの大岩を異能で持ち上げ、組合の長髪の構成員に投げつけた。
その行動が意味することはひとつ。
「このゴミ片したら次は手前だからな!」
中原先輩は、太宰……探偵社に協力することになったのだ。
先輩はこのことを予感していたのか。
ともあれ、首領からの指示であることは明白だ。
何か考えがあってのことだろう。
でも、納得できない。
なぜ仲の悪い2人を協力させるのだろうか?
もしかしたら、私の知らない『何か』があるのかもしれない。
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作者名:サーモニウム | 作成日時:2018年6月14日 23時