樋口さんと芥川さん�� ページ7
それからしばらくして。
「あ、樋口さん。芥川さんの容態はどうで――」
いつものように拠点内を彷徨っていた私は、偶然にも樋口さんを見つけた。
様子を見るついでに道を教えてもらおう、と声をかけて……口を閉ざした。
「……樋口さん、何故そんな所に？」
樋口さんは武器庫の前にいた。
「芥川先輩を助けに」
芥川さん？療養中のはずじゃなかったっけ。
いや、もしかして。
「先輩は攫われたんです。でもきっと、首領は命令を下さない。だから、私が助けに行く」
武器を見繕いながら、微かに声を震わせて言う。
「やれやれ」
いつの間にか、黒蜥蜴の広津さんたちがいた。
どうやら止めても無駄だと分かっているようだ。
「では」
準備を終えた樋口さんは、すっくと立ち上がった。
このまま一人で行かせれば樋口さんの命は無いだろう。
仕方がない。
「私も行きますよ」
「？！」
今日の仕事はすでに終えている。
業務に支障は無いはずだ。
「中原幹部の直属部下としてではなく、AAという一個人としてです」
とはいえ、戦闘系の異能ではないから武器は持っていこう。
適当な銃とかでいいか。
「ほら早く。私が異能で場所を突き止めます」
「A、さん……。ありがとうございます……っ」
「いいんですよ。似た者同士のよしみです」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その後、黒蜥蜴の加勢もあって芥川さんは無事に救出された。
ああ……戦闘なんて専門外の事したから凄く疲れた。
中原先輩に「お疲れさん」って言われたい。
切実に。
明日は特に仕事は入ってないし、今日は中原先輩の事を考えながらゆっくり休もう。
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作者名：サーモニウム | 作成日時：2018年6月14日 23時
