【文スト】方向音痴のマフィアさんは中原幹部にときめいている (ページ19)

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密会と探り合いページ19

密会の場の空気は、端的に言えば『険悪』だった。

特に此方は探偵社にプライドを傷つけられた者も多い。
探偵社が何を考えているのか分からないが、一筋縄ではいかないだろう。

ところで。

私は半ばあの少女に会うために来たのだが、肝心の少女が見当たらない。
一体どこにいるのだろうか。

……少し探してみよう。

「『障子に目あり』」

木の陰、建物の裏、茂みの向こう。

――おかしい。
どこを探してもいない。

私の感が外れたのだろうか？

否、そんなはずはない。
根拠は無いが、彼女は必ずこの場にいる。

うんうん唸っている内に、話し合いは終わったようだった。
いや別に聞いていなかったわけではない。
断じて。

まあなんだか腑に落ちないが、引き下がるとしよう。

と、その時。

「あの」

少女が突然現れ、私に声をかけた。
ほら、やっぱりいたじゃないか。

「すみません、ちょっと訳あって、とある方の異能で隠れていました」

ははあ、合点がいった。

私の異能は、ステルス状態の物はギリギリまで近づかないと"見"ることができない。
白鯨の時も結構苦労したのだ。

まさか彼女がステルス状態で隠れていたとは思いもよらなかった。

「いいんですか、隠れていたのに出てきて」

すると彼女は恥ずかしそうに微笑んだ。

「反対されたんですけど、やっぱり自分の事は自分で解決したいなと思いまして」

おや、これは私が付き合わされる感じかな。
予想以上に面倒事に巻き込まれそうな予感。