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危機と接触 ページ16
「こんにちは」
可憐な声に振り向くと、そこには探偵社のあの少女がいた。
意外と早い２度目の対面に少し驚く。
「こんにちは、偶然ですね」
相手は敵対組織の一員だというのにも関わらず、なんだか気持ちが落ち着いていた。
しかし彼女の方は緊迫した面持ちだ。
「精神操作系の異能者……Ｑを座敷牢から出したそうですね」
「はい、まあそうみたいです」
「敦さんが組合に攫われました。貴女達の言うところの『人虎』が」
「それがどうかしましたか？」
「私は敦さんを助ける為の手掛かりを探し、異能を使いました。その時、組合の長たちの会話が聞こえたんです」
すると少女は突然、私の肩を掴んで言った。
「お願いします、力を貸してください！このままじゃ、この街が……！」
「落ち着いてくださいよ。話がまったく見えませ――」
「組合は……Ｑを利用してヨコハマを焼け野原にするつもりです」
Ｑを利用する？
まさかＱも組合に捕まっているというのか。
「兎にも角にも、早く貴女の上司に伝えてください。要件はそれだけです」
そう言うと、彼女は踵を返して去っていこうとした。
「待ちなさい」
しかし今帰られると困る。
なぜなら――
私は地図を広げた。
「マフィアの拠点までの道、教えてくれませんか？」
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作者名：サーモニウム | 作成日時：2018年6月14日 23時
