検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:10,729 hit

【闇色翠玉】「妖と月夜」【島左近】 ページ3

「こんばんは…」
「あっ、A!」

静かに襖を開け挨拶をすると、私の名を言い向き直る彼。
彼は左近という。

この方が、私が初めて会った人間だった。

そう、私は人ではない。
妖だ。

森で人の姿になる練習をしていたのを、左近が見つけた。
そして、私は恋に落ちてしまった。

「あの時も、こんな月夜でしたね…」
「そうだな…。ホント綺麗な月だよな」

左近が軽く、自分の隣の床を叩く。
私は左近の隣に座った。

妖でも心はある。
それ故、私は今…胸の高鳴りを抑えられずにいる。
嗚呼、これが、恋…

不意に、手の感触がした。

「また尻尾、出てるぜ?」

言われた瞬間、顔が火照った。
慌てて尻尾をしまうと、左近は残念そうな顔をする。

「あのままでも可愛いからいいけどな〜」
「じ、冗談はよしてください…」
「あはは、ホントだって!マジ可愛い…」

まったく…と、月を見上げる。
一片の曇りもない月を見ると、心が安らぐ…

そのまま、しばらくぼんやりと月を見ていた。

気が付くと、手にぬくもりを感じた。
左近が私の手を包むように置いていた。

私は、左近の指に私の指を絡めた。



―――今宵の月は、まことに綺麗でした。

月鏡から、この作品に関わっている作者様へ→←【月鏡】愛しています、これからも【猿飛佐助】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.9/10 (32 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
4人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:桃犬 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2014年10月19日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。