毒占欲? ページ18
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う「本当にどうしたんだ?反応薄いし、朝食の時も上の空だったし。……なんかあったのか?」
………うらたさんは鋭い。
こういう時は相談した方がええんよな。
……でも、それから後はどうなる?
俺がうらさんに相談したとして、Aが女だってバレて、………そしたら、Aはどうなる?
そこまで考えを巡らせて、血の気が引いていく気がした。
変に律儀なあいつのことだから、屋敷をこっそり出ていくかもしれない。
そういう奴だっていうのを、長い間一緒にいた俺は、俺たちは知っているから。
この思考を巡らした間、およそ3秒。
俺は回転の速い自分の頭に感謝し、顔を上げて、さも何でもないといった風にうらさんに微笑んだ。
し「なんでもないで、ただの寝不足。いつの間にか日付が昨日から今日になっとたんよねぇ」
これは、本当のことだったし、嘘はついていない。
……まぁ、理由は違うけど。
うらさんは、呆れたように眉を下げた。
う「なんだそれ。心配して損した〜」
し「ちょ、なんやねん損することあらへんやろ」
う「………」
し「やめてそんな目で見ないで()」
Aのことは、まだ言わんどこ。
まぁ、もし皆にバレたとしても、ここの屋敷から逃がすつもりはあらへんけどな。
………君の秘密を知っているのは、まだ俺だけでいい。
変な独占欲が心を占めた。
センラside
今日は、志麻くんの様子が朝からおかしかった。
うらたんと喋ったあとぐらいからは、いつも通りだったけど。
流石長男の力……ってことでええんやろか?
なんか引っかかるんよなぁ………。
うーん、と思案しながら廊下を歩いていると、角を曲がったところで、胸のあたりに軽い衝突。
驚いて視線を下にやると、俺らに仕えている執事、Aが尻もちをついたのか床に座り込んで、整った顔を歪めていた。
瞬間、自分の悪戯心に火が点く。
よし、この前のチェスの復讐や。
俺は困ったような笑顔を作り、Aに片手を差し出した。
せ「ごめんなぁ、ちっちゃすぎて気づかんかったわぁ。大丈夫?」
Aはちょっとムッとしたのか、片眉を少し上げて見せる。
『センラ様、毒舌を吐く前に目の前にいる、自分がぶつかって尻もちをつかせた相手を労わってはどうですか?』
せ「ぶつかったのはお互い様です〜」
Aは怒りを鎮めるかのように溜息をつきながら、俺が差し出した手をやや乱暴に掴んでそこにぐっと力を入れてから立ち上がった。
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kne(プロフ) - 続き楽しみです。 (2021年9月14日 0時) (レス) id: ee34aec55d (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - リスさん» リスさんなんですね!私はこたぬですが基本的に箱推しです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ぱるむさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません汗 ありがとうございます! 今リメイク版を作成している最中なので、もうしばらくお待ちいただけると嬉しいです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ランデブーさん» ありがとうございます!そう言ってもらえてとても嬉しいです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
リス - 私も志麻リスです! (2021年6月24日 22時) (レス) id: 016461b9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よる | 作成日時:2020年7月30日 16時