相良さんの指輪になりたい (ページ21)

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「このひとたち、なんで倒れてるんだろう…あっ、Aが倒したの！」
『京子ちゃん、私喧嘩できないからそれは無理があるよっ…』

Aは空気を読み、こそっと京子に耳打ちする。

「あっじゃなくて…この子がやっつけたの」

開久たちにリンチをかけられて倒れていた彼を指さす。それも多少無理があることはこの際黙っておくことにした。

「おい･･･どうなってんのコレ」
相良はAにそっと聞く。彼もそれなりに困惑しているようだったが、Aも答えようがなく、首をかしげる。

「ッダアテメエ!!!!!!いつまで京ちゃんの手握ってんだッッ!!!!!!」

相良はしらけたように京子の手を離し、ついでにAの拘束も解いた。

「じゃっ、行こっか京ちゃん。今日はチョコレートパフェ食べんだよねーっ！Aちゃんも途中まで一緒に帰ろう！」

伊藤は京子の肩を抱いて歩き、Aも今日のところは出直そうと歩き始めたが、相良が待てよと低い声で呼び止める。

「てめえ軟高だよな。三橋って奴知らね？」
「三橋になにか？」
「あのクッソ卑怯者がよ、この俺様に後ろから蹴り入れやがったんだよ。あの豚野郎、グチャグチャにして人の道ってのを叩き込んでやろうと思ってさァ」

にやにやと笑う相良にぞくっとしながらAは伊藤の返答を黙って窺う。
しかし伊藤はその質問には答えずに表情を強ばらせて、京子に向き直る。

「京ちゃん、悪いんだけどAちゃん連れて先歩いててくんないかな。俺はこいつをケチャケチャにしなきゃ」

京子は名残惜しげにAの手を引いて歩き出す。

「おい、A。お前は残れ。こうなってんのはお前の責任でもあるんだぞ？」

相良のその言葉にAは思わず足を止める。

「A、耳貸すんじゃないよ。行くよ」

『京子ちゃん、私、やっぱり残らなきゃだめだ』

Aは決心したように微笑んで京子の手を優しく離す。
「A…」

Aはもう一度京子に微笑むと、振り返って再び相良の元へ歩き出した。

「素直でいいねえ、Aチャン」

相良は心底嬉しそうに笑った。

「Aちゃん…」
『いいの、伊藤くん。こうなっちゃったのは私のせいでもあるから。相良さんに、ちゃんと話すの』

Aと伊藤はお互いの会話で、相良がそばに立てかけてあった角材を手にしていたのには全く気づくことができなかった。

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