正樹くんの背中 ページ39
『っ正樹くん！』
「ああ？……A、ちゃん」
さっきまで感じなかった恐怖がゆっくりと押し寄せて来る。
もしあの時、市橋くんが助けてくれなかったら、どうなっていたかなんて考えなくても分かるのに。
「お、なになに？また俺らに襲われにでも来た？」
ニヤニヤ、と私を見つめる顔が…怖い。
何考えてるんだろう、私。
今すぐにでも、逃げ出したい。
「……お前ら先行ってて」
「は？何言ってんだよ有原」
まるで私の気持ちなんてお見通しのような正樹くんは「ガチャる凡下校生探しといてよ」そう言って、私に向き直った。
────助けてくれたん、だろうか。
ダメだ、そんな風に考えちゃいけない。
「で、何の用？」
『…っ、市橋くんまた入院したの』
「ああ、そう」
『何で、あんなこと』
「てっぺん取る為だけど？」
てっぺんって、何？
そんなに偉いものなんだろうか。
喧嘩のこととか矢波高のことに詳しいわけじゃないけど、人の上に立つことがそんなにいいことなんだろうか。
「市橋くんがいる限り俺はてっぺんにはなれないからねー。下剋上ってやつ？」
『でも正樹くんはそんな、！』
私がそう言いかけた時「Aちゃんさあ！」といきなり声を張り上げた。
その声に思わず体が大きく反応する。
「俺らに襲われそうになったんだよ？分かってる？」
『っでも、』
────「じゃあ俺また後で来るわ」
────「っ、市橋くんが！目を覚ましたって！」
いつだって思い出すのはそんな正樹くんの優しい姿で。
「…わざわざ来るなんて、馬鹿じゃねえの」
『……っ今までの正樹くんは、誰な、の？』
「…ごめん」
そう呟くと正樹くんは身体を翻した。
大きな歩幅で歩いて行ってしまう。
私はその背中を見つめたまま、何も出来なかった。
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狛犬のリサ(プロフ) - あーあ、やっぱり夢主はトビオじゃなくて市橋かぁ…けっ…作者は最高でドラマも最高だったし…トビオ落ちだったらもっともーっと最高だったのになぁ (2019年1月22日 2時) (
レス) id: 3d96b1b6a9 (このIDを非表示/違反報告)
みい - いつも楽しみにしてます！トビオおち分岐ありがとうございます！トビオと結ばれて欲しいと思ってたので嬉しいです (2017年9月27日 16時) (レス) id: 788e2e4591 (このIDを非表示/違反報告)
はる坊(プロフ) - この前はトビオオチが見たい！とコメントさせていただきましたが、正直私もどっちも見たいです。どちらも書いてくださるというお話すごく嬉しいです！！頑張ってください！！ (2017年9月2日 22時) (レス) id: 0e6de27daf (このIDを非表示/違反報告)
前田ちかね(プロフ) - 市橋くんオチがいいです！ (2017年9月2日 22時) (レス) id: f96c4eb485 (このIDを非表示/違反報告)
emu(プロフ) - 今日の回は昼顔っぽくて面白かったです！めっちゃ好きですこの感じの＞ω＜ (2017年9月2日 1時) (レス) id: 7e03b267ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐伯
| 作成日時：2017年8月8日 18時
