あの海で刑事さんと ページ40
あれから蓮子たちに合流する気も起きなくて、ブラブラと街中を歩き続けた。
────あの海、行きたいな
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「Aのこと、連れてきたかった」
遠い海を見つめながらあの日のことが頭によぎった。
決して口数も多くない市橋くんの口から出たその言葉は、私にとってとても大事なもので。
でも今は、その彼はもう隣にいない。
ふと周りを見渡すと、海沿いの階段に見覚えのある姿が目に入った。
『…刑事さん、？』
爆破事件の時にあの場所いて、私の家にも来たあの刑事さんだった。
いつもあんなに事件ばかり追い求めているよう刑事さんが、こんなところで海を哀れむように見つめているなんて。
「……名字、A」
『何してるんですか、こんなところで』
「別にお前には関係ないだろう」
私を睨むように一瞥した刑事さんは「お前こそこんな遅くに一人で何やってる」と聞いておきながらどうでも良さそうにそっぽを向いた。
『色々あったんですよ、私にも』
そう、色々あったんだ。
市橋くんのことも、増渕くんのことも。
蓮子のことも、由佳のことも…正樹くんのことも。
一人じゃ背負いきれないほど、色々と。
「っふ、そうか」
拗ねたように私が呟くと刑事さんは鼻で笑った。
…なんでこんな人が、刑事なんだろうか。
ほら、もっと警察って優しくて、頼りになる人だと思っていた。
「よいしょ」とらしくない声を上げて刑事さんは立ち上がると階段を上がっていった。
何段か上がった後、何故かピタリと立ち止まる。
「…さっさと来い、送って行ってやる」
『、え？』
まさかの発言に戸惑う私をよそにまた階段を上がり始めた。
「早く来ないと知らねえぞ」そんな低い声が、静かに波の音だけが聞こえるこの場所に響いた。
もしかしたら、この人も
──── そんなに、悪い人じゃないのかもしれない。
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狛犬のリサ(プロフ) - あーあ、やっぱり夢主はトビオじゃなくて市橋かぁ…けっ…作者は最高でドラマも最高だったし…トビオ落ちだったらもっともーっと最高だったのになぁ (2019年1月22日 2時) (
レス) id: 3d96b1b6a9 (このIDを非表示/違反報告)
みい - いつも楽しみにしてます！トビオおち分岐ありがとうございます！トビオと結ばれて欲しいと思ってたので嬉しいです (2017年9月27日 16時) (レス) id: 788e2e4591 (このIDを非表示/違反報告)
はる坊(プロフ) - この前はトビオオチが見たい！とコメントさせていただきましたが、正直私もどっちも見たいです。どちらも書いてくださるというお話すごく嬉しいです！！頑張ってください！！ (2017年9月2日 22時) (レス) id: 0e6de27daf (このIDを非表示/違反報告)
前田ちかね(プロフ) - 市橋くんオチがいいです！ (2017年9月2日 22時) (レス) id: f96c4eb485 (このIDを非表示/違反報告)
emu(プロフ) - 今日の回は昼顔っぽくて面白かったです！めっちゃ好きですこの感じの＞ω＜ (2017年9月2日 1時) (レス) id: 7e03b267ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐伯
| 作成日時：2017年8月8日 18時
