増渕くんとカレー ページ38
『あ、そうだ。先にシャワーでも浴びる？』
「、っえ！？」
『汗、かいてるでしょ？』
「え、あ、うん…」
シャワーを借りるって…
そういうことで、いいんだろうか。
いや待て、相手はAちゃんだ。そんなはずない。あるわけない、と自分に言い聞かせた。
…これ、Aちゃんの匂いだ。
そりゃ同じシャンプーとボディーソープを使ってるんだからそうなるんだろうけど。
男としての欲求を、必死に理性で封じ込めた。
『増渕くん、ここにタオルと着替え置いとくね』
「あ、ありがとう…」
なんだろう夢でも見ているんだろうか。
そのうち俺も捕まるんだったらこれくらいの経験はしておきたい。
そりゃあもちろんそれ以上の経験もしたいけど！？
…そんなの無理だし。
蓮子にあんな振られ方をした以上、俺に勇気なんてこれっぽっちもない。
「Aちゃんシャワーありが、」
『うん、大丈夫ですよ。無事着きましたから。…え、今？一人ですけど、何でですか？』
Aちゃんが用意してくれた着替えに着替えてリビングに戻るとどうやら電話中だったらしい。
そして鼻の奥に広がるカレーの匂い。
ああ美味そうだな、なんて久しぶりに感じたかもしれない。
今までは母さんの料理を食べることが当たり前だった。
いつも通り家に帰って、風呂に入って、飯食って、ベッドで寝て。
そんな当たり前がいつしか無くなって。
…あぁなんか泣きそう。
『…ごめんお待たせ。さ、ご飯食べようか！』
「電話大丈夫だったの？」
『え？なんで？』
「…一人だって嘘ついてたし」
『あーさすがに男の子がいるなんて言えないよ』
なんて照れ笑いを浮かべるAちゃんは『ほら食べようよ』と二人分のカレーを机に置いた。
いただきます、と二人の声が重なる。
「美味い、」
『っ、そっか、良かった』
市橋もこんな上手い料理を食べていたんだろうか。
なんでさっきから市橋のことばっかり浮かんでくるのか分からねえけど、Aちゃんの一挙一動がなんか引っかかって。
もう死んだやつのことなんて考えても意味ねえのに。
『…あのさ、増渕くん』
「ん？」
『一個だけ、聞いてもいいかな？』
この時にどうにかして話を逸らしていれば、そう思ったってもう遅いのに。
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もくもく(プロフ) - はぁぁぁ、、だいすきです。。。市橋くん、、 (2019年6月25日 19時) (
レス) id: 10c5a3095c (このIDを非表示/違反報告)
狛犬のリサ(プロフ) - 素晴らしい小説なんですけど、夢主を見ていくとだんだんトビオの事人として好きで恋愛対象ではないと思ってしまいますねこの回は (2019年1月22日 2時) (レス) id: 3d96b1b6a9 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - 優羽さん» コメントありがとうございます！本当に嬉しいです！（；_；）続編に移行することになりましたので是非ご覧下さい！！ (2017年8月8日 18時) (レス) id: b9ebf906a3 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - あかねこっこさん» コメントありがとうございます！嬉しいです（；_；）今日４話放送ですね！また更新するのでぜひ楽しみにして頂ければ！！ (2017年8月8日 18時) (レス) id: b9ebf906a3 (このIDを非表示/違反報告)
優羽(プロフ) - 初めまして。更新されると毎日読んでます。続きが読みたいです。更新待ってます。 (2017年8月7日 11時) (レス) id: e3622875d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐伯
| 作成日時：2017年7月24日 0時
