増渕くんの嫉妬 ページ37
俺の家から出てきた蓮子に結局声が掛けられなくて、おまけに今日寝る場所もねえし腹減ったし、どうしようなんて思ってたら後ろから声を掛けられた。
声の正体はクラスメイトの名字Aだった。
「 ( 何か、飯食わせてもらうことになったぞ…？ ) 」
まあぶっちゃけ、Aちゃんは可愛いと思う。
蓮子の友達じゃなければ関わることもなかっただろうし、それくらい高嶺の花というか、俺らにとっての憧れの的だった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
『よ、良かったらご飯食べていきませんか？そんなに、上手くは…ないですけど』
『…まだ、一緒にいたい、です』
「迎えに来た」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
…あんなのを目の前で見せられて何も関係ないと言われたって、素直に「はい、そうですか」って言えるはずもなく。
しかもその相手があの矢波高の市橋だなんて。
『増渕くん？どうかした？』
「へ、いや、何でもないよ」
『ほら入って』と扉を開けたまま俺を待つAちゃん。
家が近所だから何度も見たことあるけど、もちろん入るなんて初めてで。
「 ( なんか、緊張するな ) 」
大きな一軒家に足を踏み入れた。
白を貴重とした家は綺麗に整えられていて、さすがAちゃんの家だななんて感心する。
『今日からね、お父さんとお母さんが旅行行っちゃって。娘置いて旅行行くなんてありえないよね、本当』
そう文句をこぼしながらも頬が上がっているAちゃんは、きっと両親のことが大好きなんだろう。
「本当に大丈夫？俺が来ちゃって」
『いいのいいの。私もちょうど一人でご飯なんて寂しいなって思ってたし』
『適当に座ってて』とエプロンをつけながら呟く姿に胸が熱くなった。
もしあの爆発が起こらなくてそこそこの日常が続いていたら、きっと将来は誰かと結婚して毎日こんな気持ちになれていたんだろうか。
『あ、ねえ増渕くん。嫌いなものとか大丈夫？』
「え？あ、うん。大丈夫」
Aちゃんって案外家庭的なんだ。
下ろしていた髪をくくって冷蔵庫を漁っている。
時間を戻したい、と何回思っただろう。
あの平凡な日常に戻れるなら何だって出来ると言い切れる。
このAちゃんの姿を…市橋も見ていたんだろうか。
そう考えると暖かくなっていた胸の中に、
ぐるぐると真っ黒いものが渦巻いた。
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もくもく(プロフ) - はぁぁぁ、、だいすきです。。。市橋くん、、 (2019年6月25日 19時) (
レス) id: 10c5a3095c (このIDを非表示/違反報告)
狛犬のリサ(プロフ) - 素晴らしい小説なんですけど、夢主を見ていくとだんだんトビオの事人として好きで恋愛対象ではないと思ってしまいますねこの回は (2019年1月22日 2時) (レス) id: 3d96b1b6a9 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - 優羽さん» コメントありがとうございます！本当に嬉しいです！（；_；）続編に移行することになりましたので是非ご覧下さい！！ (2017年8月8日 18時) (レス) id: b9ebf906a3 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - あかねこっこさん» コメントありがとうございます！嬉しいです（；_；）今日４話放送ですね！また更新するのでぜひ楽しみにして頂ければ！！ (2017年8月8日 18時) (レス) id: b9ebf906a3 (このIDを非表示/違反報告)
優羽(プロフ) - 初めまして。更新されると毎日読んでます。続きが読みたいです。更新待ってます。 (2017年8月7日 11時) (レス) id: e3622875d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐伯
| 作成日時：2017年7月24日 0時
