市橋のえがお ページ34
『いや、あの、その…今のは違うくて！』
誤解されないように言っておくけど、キスはしていない。それだけは断じて。
倒れそうな市橋くんを支えようとしてバランスを崩してしまった私は、二人して床に転んで…
でも何故か私は彼の上に乗っていて。
市橋くんが私を庇ってくれていた。
勘違いじゃない、きっと。
というか問題はそこじゃない。
もう少しで本当に唇が触れてしまいそうな距離に、彼の綺麗な顔がある。
近すぎてぼやけているけど、市橋くんも驚いて目を見開いているようだった。
咄嗟に彼の上から退いた私は、必死に弁解を始めた。
私の死亡原因が「市橋哲人の怒りを買った」なんてことにしたくない。
「…っふ、」
『へ、？』
…今、笑った、よね？
あの市橋くんが、私に向かって、笑った。
微笑まれたことは何度かあるけど、それとはまた違う。
笑ったというより鼻で笑ったって方が正しいのかもしれないけど、
最近は市橋くんの厳しい顔しか知らなかったから、それが妙に嬉しくてたまらなかった。
『…笑っ、た？ねえ今笑ったよね？』
「…笑ってねえよ」
私がそういうと途端に真顔に戻って否定をしたけど、あれは間違いなく笑ってた。
本当に、綺麗な微笑みだと思う。
あんな顔しないでずっと笑ってればいいのに。
『…市橋くんは、笑ってる方がいいよ』
「…」
『少なくとも私にとっては』
そんな私の言葉に少し眉を寄せた市橋くんは、また私の方を見ると「ん、」と手を差し伸べてきた。
優しくその手に触れた途端、一気に彼の暖かさを感じる。
あんなに冷酷な市橋くんの手は驚くほど暖かい。
それがみんなにも伝わればいいのに。
そんな叶わぬ願いを秘めたまま、ゆっくりと彼を起こしあげた。
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もくもく(プロフ) - はぁぁぁ、、だいすきです。。。市橋くん、、 (2019年6月25日 19時) (
レス) id: 10c5a3095c (このIDを非表示/違反報告)
狛犬のリサ(プロフ) - 素晴らしい小説なんですけど、夢主を見ていくとだんだんトビオの事人として好きで恋愛対象ではないと思ってしまいますねこの回は (2019年1月22日 2時) (レス) id: 3d96b1b6a9 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - 優羽さん» コメントありがとうございます！本当に嬉しいです！（；_；）続編に移行することになりましたので是非ご覧下さい！！ (2017年8月8日 18時) (レス) id: b9ebf906a3 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - あかねこっこさん» コメントありがとうございます！嬉しいです（；_；）今日４話放送ですね！また更新するのでぜひ楽しみにして頂ければ！！ (2017年8月8日 18時) (レス) id: b9ebf906a3 (このIDを非表示/違反報告)
優羽(プロフ) - 初めまして。更新されると毎日読んでます。続きが読みたいです。更新待ってます。 (2017年8月7日 11時) (レス) id: e3622875d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐伯
| 作成日時：2017年7月24日 0時
