市橋くんのお迎え ページ14
ゆっくりと市橋くんがこっちに向かって歩いてくる。
それに比例して増渕くんの顔がどんどん曇っていく。
市橋くんが歩くと周りにいる凡下校生が離れていって、
下校時間になって賑わっていたのに彼の前に道ができていく。
『市橋くん、何で…』
「迎えに来た」
そう言った市橋くんは私の隣に立つ増渕くんを睨むとニヤリと右側の広角だけ上げて笑った。
「久しぶり、増渕トビオくん」
「っ、！」
「あいつまだ生きてる？」
あいつって、誰？
生きてるって一体どういうこと？
増渕くんの言う通り、私は知らないことばっかりだ。
市橋くんは増渕くんの髪をつかむと耳元に何かを呟いた。
( 次はお前の番、だからな )
何を告げたのかは聞こえなかったけど、
増渕くんはそれに怯えたようなそんな顔をしている。
「行くぞ」
『え、ちょっと…』
増渕くんの髪から手を離した市橋くんはそのまま私の手を掴んで校門へと歩き始めた。
さっき増渕くんの髪を掴んでいた力が信じられないほど優しく握られていて、
逆に戸惑ってしまう。
咄嗟に後ろを振り向いて『ごめんね』と声を出さずに言ったけれど、増渕くんは立ちすくんだままで気付いてくれたのかは分からない。
バイクの元へたどり着くと市橋くんは手を離してそのままバイクのエンジンをつけた。
後ろに乗るべきなのか悩んだけれど、
「なんで市橋が名字といるんだよ」
「市橋とAってそんな関係？」
「Aも見る目ないね」
なんてコソコソ言いながら周りで恐怖の表情を浮かべている凡下高のみんなの顔を見てしまったら、
乗る以外の選択肢なんてなかった。
今度は躊躇なく市橋くんの腰に腕を回すと、一瞬だけ市橋くんの手が私の腕に触れた。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
『わざわざありがとうございました』
私の家と凡下高はそれほど距離もないのにやたら長くバイクに乗っていた気がする。
…いやきっと気のせいだろう。
市橋くんがわざわざ遠回りをしてるだなんて、そんなことありえない。
「明日もまた来る」
『いやそんな、悪いですよ』
「俺がしたいからしてるだけ。文句ある？」
『…ない、です』
よく分からないけど、また明日も彼がやって来るみたいです。
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もくもく(プロフ) - はぁぁぁ、、だいすきです。。。市橋くん、、 (2019年6月25日 19時) (
レス) id: 10c5a3095c (このIDを非表示/違反報告)
狛犬のリサ(プロフ) - 素晴らしい小説なんですけど、夢主を見ていくとだんだんトビオの事人として好きで恋愛対象ではないと思ってしまいますねこの回は (2019年1月22日 2時) (レス) id: 3d96b1b6a9 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - 優羽さん» コメントありがとうございます！本当に嬉しいです！（；_；）続編に移行することになりましたので是非ご覧下さい！！ (2017年8月8日 18時) (レス) id: b9ebf906a3 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - あかねこっこさん» コメントありがとうございます！嬉しいです（；_；）今日４話放送ですね！また更新するのでぜひ楽しみにして頂ければ！！ (2017年8月8日 18時) (レス) id: b9ebf906a3 (このIDを非表示/違反報告)
優羽(プロフ) - 初めまして。更新されると毎日読んでます。続きが読みたいです。更新待ってます。 (2017年8月7日 11時) (レス) id: e3622875d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐伯
| 作成日時：2017年7月24日 0時
