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「この脅迫文とことん調べたのに指紋も出ないし何も出ない、気に入らない」
「東海林、やたらとこだわるね」
「実はこの文面に心当たりが」
そうミコトと夕子ちゃんが話しているとラボに入ってくる久部くんの姿が目に入った。
彼も見つめる私に気付いたようで一瞬交わる視線。
────「でも過去のことと何か関係が、」
昨日のことを思い出してしまって思わず目をそらした。
──── 何やってんだ私、いい歳して。
「え？」
「監察医務院で働いてた時、出入り業者の男と付き合ってたんだ。
それが既婚者で…」
『不倫ってこと？』
「ちょっ、A！
騙されたの！独身だと思ってたの」
私とミコトを連れてみんなから離れるけれど、きっととっくにもう聞こえてるだろう。
「まあ考えてみれば独身だとも既婚だとも言われてなくて、
普通にアプローチされて普通に付き合ったもんだから、普通に独身だと思い込んだまま５年」
「「『５年！？』」」
気が付くと後ろには所長と久部くんの姿。
また、視線が交わる。
今度は何故か逸らすことが出来なくて、大きくなる心臓の音に話し続ける夕子の声も耳に入らない。
「ねえ、心当たりっていうのは？」
「…職場に奥さんが乗り込んで来てさ、
あんたのしたことは一生忘れない、地獄に落ちろ！って。
ゆで卵投げつけられた。
これ見たら思い出しちゃったー額に当たったゆで卵の硬さ」
「実は私にも心当たりが」
『しょ、所長もですか…』
厚労省時代に対立した人が飛ばされ逆恨みされたらしい。
ミコトまで「私宛だ」なんて言い出して、もうキリがない。
週刊ジャーナルに名前も写真も勝手に使われたからだ、と告げるミコトの背中を見つめる。
ミコト宛でもないかもしれないのに。
だけどそれを言う勇気は、私にはなかった。
『写真まで勝手に使うなんてプライバシーも何もないね。
──── 久部くん、大丈夫？』
「はい、」
『いやぼーっとしてたから』
眉間にシワを寄せたまま地面を見つめる久部くんに少しだけ、違和感を抱いた。
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ゆう - 素敵な小説ありがとうございます。続編楽しみに待っております！ (2018年3月17日 16時) (
レス) id: e85ad242c1 (このIDを非表示/違反報告)
あーぽん - めっちゃ面白いです！木林さん好きなので次がきになります！ (2018年3月17日 12時) (レス) id: 54c07bea64 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - アイリスさん» はじめまして、ご指摘ありがとうございます。誤字を訂正させて頂きました。お手数お掛けしすみません。これからも檸檬のなみだを宜しくお願いします！ (2018年3月4日 16時) (レス) id: 2d039b8cab (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく読ませていただいています。誤字報告、ご指摘をさせていただきます。8の「激を飛ばす」は「檄を飛ばす」が正しいです。また「檄を飛ばす」という表現よりも「不満を漏らす/零す」が適切だと思います。出すぎた真似でしたらすみません。 (2018年3月3日 22時) (レス) id: 2bfa349df7 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - にしじまさん» 初めまして！コメントありがとうございます（；_；）なんて嬉しいお言葉、、がんばります！！！ (2018年3月2日 13時) (レス) id: 2d039b8cab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐伯
| 作成日時：2018年2月20日 23時
