大きな背中に手を振る。［shohei.O］ (ページ6)

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夢を見たあと、ページ6

「……っ、…夢か、」

ぱっと目を覚ました俺は、今ではすっかり見慣れた高い天井を見つめた。
身体に掛けていたはずの布団は床に落ちている。

どおりで寒いわけだ。
寒かったからあんな夢を…？

忘れたことなんてただの一度もないけど、どこか頭の片隅に追いやっていたAの存在。

一度はっきりと思い出すと、あのときの気持ちが一気に色を付けて、鮮やかに甦る。

枕元に転がったスマホで時間を確認すると、アラームが鳴るまであと2時間もある。
床に落ちた布団を掴んで、包まりながら目を閉じるけど。

眠気は一向にやってこなかった。

「…ふぁ、」

「翔平、あくびだらだらじゃん。眠れなかったの？」

ダグアウトのベンチに座って何度目か分からないあくびをしていると、隣に居た一平さんが不思議そうに顔を覗き込んできた。

「うん、なんか懐かしい夢見て。」

「…悪い夢とかじゃないの？」

悪い夢なんかじゃないよ。
でも思い出すとちょっと甘酸っぱくて、そして苦い気持ちが込み上げる。

さぁ、俺の番だ。
バッドを手に取ると、軽く首を振ってからダグアウトを取り出した。

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